そのあと-07-01





姉妹だけの奇妙な生活が始まって、既に何日も経過してしまっている。
その間、一日たりとも拉致された母を思わぬ日は無かったが、人質同然に取られている真由美を案じれば
迂闊な事は出来ず、ただ悶々と過ごす姉妹であった。
だが、その安穏の日々は唐突に終了するのであった。

いつもの様にバイトを終え、帰宅する姉妹。
店独特の制服を私服に着替えて退店する2人は残るスタッフに明るく声を掛ける。
「お疲れさまでしたぁっ!!」
「それではお先に失礼します。」
妹の元気一杯の挨拶に姉の礼儀正しい挨拶。
そして、制服姿も可愛いが、私服もまた特別に可愛い。

姉は大人への階段を昇り掛ける少女、内に秘めた凜とした気性を示すかの様な純白のポロシャツとタイトミニ。
だがその純白のシャツから透けるブラジャーは、未だ乙女の恥じらいを示すかの様な薄いピンク色が悩ましい。
一方妹は初々しさと瑞々しい若さ溢れる姿態を自慢するかの様に大胆に胸元が大きく開くキャミソール、
そこからは雪の様に真っ白な乳房が谷間まで覗かせており、丈の短いそのお腹からはチラチラと可愛いおへそ
まで覗いている、更にすらりとした太ももを見せつけるかの様なショートパンツ姿も良く似合う。

そんな美人姉妹を見送るスタッフは2人に聞こえぬ様にヒソヒソと話し合う。
「俺はヤッパリお姉さん派だなぁ、、、あのなんと言うか、凜とした、、こう、品が良いっていうのか、、」
「えぇ、、妹だろう、、可愛いじゃんっ!!」
「いや、佐和子さんのこぅ、ボォーンッ!!となってる、、」
「いやいや、アキちゃんだって、細いけど、中々、、、」

すっかり店内の人気者となっている美人姉妹は、いまやその人気を『姉:佐和子派』『妹:アキちゃん派』と
派閥すら作り、密かにファンクラブまで出来ている程なのである。

そして、それは当然、店内で収まる筈もない。
いわゆる出待ちすらいる美人姉妹。

店を出て、駅に向かう姉妹の前に突然現れた人影が1つ。
それは見るからに年若い少年、おそらく中学生位なのであろうか。
顔を真っ赤にさせながらも、懸命に勇気をふりしぼり姉妹へ声を掛ける。

「、、あ、、、あの、、、す、すみません、、、、」
最初は訝しげに構える姉妹であったが、おそらく、このような事は何度もあったのであろうか、
更に相手が少年と判り警戒も薄れて行く2人。

だが、少年の方は間近に見てしまった美人姉妹の迫力(?)にいよいよ顔を真っ赤にして口ごもる事しか出来ぬ。
そして、それに追い打ちを掛ける様な状況が発生してしまう。

見かねて声を掛け様としたアキ子を制して佐和子が少年の前に立ちはだかり、こう告げたのだ。
「何か御用でしょうか?」
「、、、、あ、、、あ、の、、ぼ、、ぼく、、そ、その、、」

いよいよ間近に見てしまった佐和子の美貌に、年若い少年は気圧されるのみであった。
清楚でありながらも凜とした気迫すら漂うその姿は、まさにかつて女帝とまで言われた頃のまま。
見るからに年若い少年は、その気品溢れる姿に圧倒され、ろくに発言も出来ず、助けを乞うかの如く
チラチラとアキ子に訴える様に向けた眼差しは、もはや涙目となっている。

そんな少年を見かねて声を掛けるアキ子。
「うん、もぅ、お姉様ったら、、怖がってるじゃありませんか、、、ねぇ、なに、何か御用?」
そう問いかけながら、その少年にほほ笑みかけるアキ子。

『、、、、あぁぁ、、奇麗だ、、、、なんて、奇麗なんだ、、、、、』
ふんわりとしたえも言われぬイィ匂いに包まれ、まさに目と鼻の先に憧れの美少女の笑顔が輝く。
そのあまりの情景に、もはや陶然となってしまう少年はまさに夢見心地といったありさまである。

そして、そんな桃源郷をさ迷う少年を更なる衝撃が襲う。
「、、、ねぇ、、なに?、、どうしたの?」
そう問いかける眼前の美少女は、相手に合わせ上体を屈めたのだが、、、、

『、、、、?、、、、!?、、、、!!、、、、、う、、、、うわ、、うわっっ、、うわぁぁっっ!!』
元々大きく胸元の開いたキャミソールでそんなポーズを取ればどうなるか、、、、、
いきなり目の前に若さがはちきれんばかりに溢れた、瑞々しい美乳がその深い谷間も露わに現れたのだ。
もちろんいかに初心な少年とて最近の子供、乳房如きはネットでいくらでも見れるし、見たことがあるが、、、

やはり、ナマは違う、、、違い過ぎる、、、
初めて目の当たりにしたリアル生乳、それも憧れの美少女の乳房は、その少年にとってもはや神々しいと
言っても過言ではなかったのだ。

「、、、あ、、、あの、、あのっ!!、、ぼ、、ぼく、、ぼくっ!!」
そんな生乳に勇気をもらった(?)のか、美少女へと向き直り、勇気を振り絞って声を掛けようとした瞬間。
「ちょっと待って、、、、あなた、、いくつ?」
「、、、は、、、は、ぃ、、中一ですが、、、、」

いきなり佐和子から質問の形をとった詰問を浴びせられ、思わず直立して回答する少年。
「、、、中一、、、イィこと、、あなたにはまだ他にやる事が沢山あるはずよ、、、こんなところで
 それも見ず知らずの相手に声を掛けてる暇があったら、、、、」

相手がまさに子供、ほんの少し前まで小学生だったと知り、呆れた様に説得と言う名の説教を始める佐和子。
自分より遥かに大人の、それもトンでもない美人に間近で説教され、先程まで天にも昇る気持ちであった
少年は、見るのも気の毒なほどに、まさにあっと言う間に意気消沈してしまった。

そんな哀れな少年を気の毒に思ったのか、アキ子が佐和子の説教を遮る。
「うんっ、もぅ、お姉様ったら、、そんな言い方しなくても、、、、」
「ねぇ、、、お店で会ってるわよね?、、、良く来てくれてるわよね、、、、」
そんな美少女の問いかけに、小さく頷く少年。

そして、その少年の回答に、まさに輝くばかりの笑顔を向ける美少女。
「あっ、やっぱりそうなんだぁ、、ありがとう、、私も覚えてるよ、君のこと、、、」
、、、、、、、もちろん、、社交辞令である、、、、
バイト生活も既に一カ月、、、いったい1日、何人のお客が来ているのか、、、、

だが、それは少年にとり、まさに天からお告げそのものであった。
『覚えてるよ、君のこと』

もぅ、、十分だ、、、、憧れの美少女と会話が出来た、、彼女は自分を知っていてくれた、、、
そして、自分に、自分一人に向けられた輝く様な笑顔と共に告げられた神託、、、、
『覚えてるよ、君のこと』

「、、お仕事、頑張って下さい、、、、」
それだけ呟くと、フラフラと、まさに夢遊病者の如くその場を離れる少年。
はたして、彼は無事自宅に帰れたであろうか、、、、、、

その後ろ姿を見送る姉妹。
呆れた様にアキ子を見る佐和子。
「、、、、、あんな調子のイィ事言って、、、」
「、、えへへへ、、だって、なにか、可哀想だったんだもの、、、」

だが、そんな悪戯っぽい笑顔のアキ子にクギを刺すかの佐和子が告げる。
「あんまりからかっちゃ、、ダメよ、、だって、私達は、、、」
「、、、、、、、は、、、は、ぃ、、お姉様、、、、」
あくまで現実を忘れぬ佐和子、そしてそれを確認させられるアキ子。
そうなのだ、、、自分たち姉妹は、こうして今、普通の生活をしているが、、、、、、

この若さにも拘わらず、あまりにも苛酷な人生を過ごす姉妹は、先程までの営業スマイルも忘れ、
沈痛な雰囲気を漂わせたまま帰宅の途につこうとした、その時、、、、、

「あら?佐和子じゃない?、、、どぅ、、元気してた?」
「久しぶりねぇ、、元気?」

そのあまりに唐突な登場と挨拶。

まるでほんの数日振り再会したかの様に、あまりにも平然と声を掛けたのは誰あろう和美そして由佳であった。
自分たちだけでなく、母親までも巻き込み、全てを奪い、取り返しのつかぬ事をし、凌辱の嵐に突き落とした
その少女2人は、そんな事など全く気にしてないかの様に平然と笑みを浮かべ、姉妹を見つめる。

『、、よ、、、よくも、、平気な顔で、、、よくも、、、、、』
山中で嬲られている時は、2人に完全に屈服してしまっていた佐和子だが、この一カ月の生活の中、
失われていた姉として矜持が蘇ったのか、憤怒の思いが沸き上がる。

だが、同じ間、調教と改造そして洗脳に近い日々を過ごしていたアキ子は、もはや奴隷根性を骨の髄まで
刻まれてしまったのか、和美達の姿を見たとたん、顔面蒼白となり震えながら佐和子の陰に隠れてしまった。

そんなアキ子を庇うかの様に和美達に立ちはだかる佐和子。
「、、え、、えぇ、、お陰様で、元気ですわ、、」
だが、そんな強気の表情で立ち向かう佐和子も、真由美を押えている2人にとっては何程もない。
『うふふ、暫く、普通の生活をしてたせいかな、、佐和子のそんな表情、久しぶりに見たわ。』
『でも、そんなお顔、いつまでしてられるかな、、、、真由美のあんなトコ見たら、、うふふふふ、、』
内心の冷笑を堪えつつも、抑えきれぬ嗜虐心の高まりに早々と切り札を出す2人。

「まぁ、そんな怖いお顔しないで、せっかくの美人が台無しよ。」
「そぉそぉ、せっかくお2人をお母様に会わせてあげるつもりだったのにぃ、、、」
そのあまりに人を馬鹿にした言葉に、思わず激高しそうになるも、懸命に自分を抑える佐和子。
「、、、、母は、、お母様は、、平気なの、、、」

だが、その佐和子に問いをはぐらかした2人は、背後のアキ子に視線を移し、嘲る様に声を掛ける。
「うふ、さぁって、どうかしらねぇ、、、、」
「あっ、アキちゃんっ、、、どぅ、女の子してる?」
突然振られた自分への質問に、思わずその身を震わせて、益々小さくなって姉の陰に隠れるアキ子。

その仕草は、もはやそれが元は男の子であるなどとは、とても想像すら出来ない。
そして先ほどの少年とのやり取りを見ていたのか、呆れた様に言う由佳。
「もぅ、完璧に女の子ね、アキ子は、、、だってさっきの男の子ったら、、、、」
「うふふふ、アキ子の正体知ったら、きっとあの子人生踏み外しちゃうわよ。」
「ねぇ、そんな場合もBLって言うのかなぁ、、、うふふふふ、、、」

『あぁ、、そんな言い方、、そんな言い方しないで、、、』
純情を絵に描いた様な少年の懸命の告白を嘲笑する2人に、辛そうに俯くアキ子。
そして、そんな儚げな美少女に更に問いかける由佳。
「うふふ、アキちゃんはどぅ?ママに会いたいでしょ。」
「会わせてあげるわ、、、ほら、ついてきな。」

そう言うと、あっさりと姉妹を残し、踵を返した2人はさっさとその場を後にしてしまう。
残された姉妹の内、姉に縋り付く妹が小さな声で哀願をする。
「、、、お、、お姉様、、わ、私、、ママに、、ママに会いたい、、、会いたいの、、、」
『く、、し、仕方ない、、わ、、』
悔しげに唇を噛み締めながらも、しかたなく、少女たちの後を追う姉妹。

一行は何度か電車を乗り換え、未だ知らぬ目的地へと進む。
その間、由佳達は何やら姉妹を見つめてはヒソヒソと語らいながら携帯やメールでどこかと連絡を取っている。
それもニヤニヤと不気味な笑みを浮かべて、自分たちを伺いつつ行うその姿に、佐和子の脳裏には再び
ドス黒い不安がとめどもなく浮かんでくるのだが、母を人質に取られている以上逆らう訳にもいかず、
ひたすら後に続くしかなかった。

そんな移動も唐突に終了する。
ある駅で降りた一行はそのままタクシー乗り場へと向かう。
さっさと乗り込んだ由佳が運転手と話している間、和美が姉妹を促す。

「ほら、ここからはタクシーよ、ちょっと女の子だけで行くにはアレなとこだからね、、、」
少女たちが徒歩で向かえぬ場所、、、、、、
そんな場所に母が居ると言うのか、、、、、
いよいよ不安になる姉妹を乗せ、車は動き出したのだが、、、、

意外な程の短距離で停車してしまうタクシー。
「ほら、お前達の自慢のお母様、ここに居るわよ。」
先に下車した由佳が、そうあっさりと宣言する中、車を降りた姉妹の正面には、、、、、、

「、、、、?、、、、!?、、、、、、!!!!、、、ヒ、、ヒィィッッッ!!」
「、、、、?、、、、!?、、、、!!、、な、、、なんと言うことを、、、、」
眼前に現れたものの正体に気付き、あたりも憚らず悲鳴を上げるアキ子。
そして、見たものが信じられず、呆然と呟く佐和子。

なんと、姉妹が連れてこられたのはいわゆるストリップ劇場であったのだ。
そして、そこにはデカデカと電飾も見事にハデな看板があり、そこには、、、

『マゾの名花、淫乱人妻、東山真由美の生花電ショー』
と大書きされていたのである。

更に入り口らしいところにはご丁寧にも等身大の写真パネルが2枚。
一枚は、いかにも上流家庭の清楚な人妻である真由美のスーツ姿がほほ笑み。
そした、その反対側には、これが同じ人物かと思えぬ程に痴情に狂い、立居で自慰する真由美がいたのだ。
白目を剥いて悶絶し、だらしなく半開きの口元からは涎が滴り、自らの手のひらに余る巨乳を揉みながら、
扇情的な真っ赤なスケスケレースショーツに残る片手を忍ばせている真由美。

「、、、ひ、、ひどい、あ、あんまり、で、す、、あぁぁ、ママが、、ママが、、あぅ、、うぅぅ、、」
やっと再会した母親の状況の酷さに、もはや嗚咽を漏らす事しか出来ないアキ子。
だが、傍らの佐和子は、健気にもその衝撃の展開を必死に堪え、美しい眉根をキリリと吊り上げながら、
和美達を睨みつけていた。

しかし、そんな、まさに蘇った女帝の姿を見ても、真由美の実情を知る由佳達は冷ややかにその刺す様な視線を
送る佐和子の眼差しを平然と受け止める。

『うふふふ、、佐和子ったら、、お母様のお仕事を見ても、そんなお顔出来るかしら、、』

場末のストリップ劇場の近くに似合わぬ美少女が4人。
緊迫した雰囲気でに睨み合いは今暫く続く様であった。





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