ショートカット02-02



「、、う、そ、、よ、、、こ、んな、こと、、うそ、だわ、、、」
昼間でも光りさえ当たらぬ場末のアパート。
申し訳程度にユニットバスでトイレ等はあるものの、排水が悪いのか一日中、異臭が抜けない狭い部屋の中。
そんな中、雨戸さえ開けぬ中、煎餅布団の上で、ポツンと座り込み、虚ろな目でぶつぶつと呟く1人の
熟女がいた、、、、、、

あの、、、日、、、学び舎の中、よりにもよって生徒と淫行をしてしまった自分。
なだれ込む教職員。響き渡る罵声と怒号。
『、、な、、なに、ヤッてるんですか!?理事長っ!!』
『出来なさい、いぃから、早く生徒は出て行きなさいっ!!』

大勢の生徒を蹴散らす教員。
『なんでもない、、なんでもないから、いいか、、なんでもないんだっ!!』
古今東西、ありとあらゆる場所で使われながら、およそ説得力に欠ける台詞を口にして、次第に増えて行く
生徒達を賢明に捌く職員。

そして、むりやり少年から引き離された真佐美は、引きちぎられた面談室のカーテンで覆われ、
まさに事件の被疑者の様に取り囲まれながら、面談室から引き吊り出されそのまま理事長室へと連れ出される。

数刻後、、なんと相変わらずの全裸、ただカーテンだけが身体に巻き付けられたままの真佐美は、蒼白どころか
全く血の気を失った土気色で理事長室のソファに座っていた。

そして、その正面にはただ1人、、、、、、、校長の山田女史だけが座っていた。
その普段は若々しくも血色の良い校長の顔色は、その土気色の真佐美のそれとは対照的に、まさに憤怒の思いか
真っ赤に染まっている。

だが、、、あまりの怒りの激しさか、、もはや言葉にもならず、ただ、ひたすら、まさに鬼の様な形相で
眼前の上司を睨み続けている。

なんとか、男性職員の手を借りて理事長を理事長室へと運んだものの、当然事情を知りたがる教職員の瞳に、
なんと好色そうな色を感じ取った校長は、声を荒げ、女性が全裸である事を理由に無理やり一同を退出させた。
しかし、眼前の『裏切り者』にもはや、手を貸す事など全く考えもしない校長は、そのまま、只の布切れを
巻き付けたまま、真佐美を放置していたのだ。

沈黙に脅え、乾き切った口で、思わずツバを飲み込む真佐美のノド音が静かな室内に響く。
ゴクンッ
そして、おそるおそる声を掛ける真佐美であったが、、、、
「、、、、、、あ、、、あ、の、、、」
「何か言いたい事でも、、、、、、言える事でもあるんですかっ!!」
すかさずその言葉を遮って、校長の怒号が室内に響き渡る。

その剣幕に、思わずその身を縮込ませて脅えるしかない真佐美。
たしかに、、、、、、いったぃ、何を言えるのだろぅ、、何が言えるのであろぅ、、
自分のした事のそのあまりのトンでもなさに、もはや心臓の鼓動はまさに突き破らんばかりに鼓動し、
全身は瘧にでも罹ったかの様にガタガタと震え出す。

「、、あ、、あ、の、あ、、あぁぁ、、、、」
そして、もはや何を言うべき言葉すら持たぬ事に気付いた真佐美は、そのまま力無くズルズルと
ソファを滑り落ちと、ノロノロと床上で眼前の校長に向け、平伏、、土下座をしてしまう。

だが、そんな安直な行為は校長の怒りに油を注いだだけであった様である。
「ふ、ふざけないで下さいっ!!、そ、、そんな、、そんな事で、、、そんな事でっ!!!、、」
激高し、思わず立ち上がった校長に真上から罵声を浴びせられ、ますます萎縮していく真佐美。

そんな真佐美に、途方も無い意志の力で激情を抑え込んだ校長がなんとか言葉を絞り出す。
「、、、、、、、、と、、、と、にかく、、、、今は、私、と、とても普通ではいられません、、、、、」
「、、き、今日は私の権限で、全員、学校から退出させますし、、、」
「、、おそらく、、2ー3日は、、休校も、やむを得ないでしょぅ、、、」

なんとか、それだけ言い残すと、さっさっと踵を返し、部屋から出ようとする校長。
数少ない言葉の中に、全く自分に関して触れられていない真佐美は、思わず縋り付くかの様に頭を上げて
声を上げる、、、の、、だが、、、、

「、、、、あ、、、、あ、の、、、、」
「、、、、ペッ!!」
ベチャッ!!

、、、、それは、、おそらく、、校長のこれまでの人生の中で、、初めての行為だったのであろう、、、、
ドラマや小説等、作り事ではいくらでも見かけるシーンではあるが、、、まさか、自分がそれをするとは、、、
だが、、、この怒り、、憤り、、汚らわしさ、、、我慢ならなかった、、我慢出来なかったのだ、、、

校長が振り向き様に、まさに口をするのも、もはや見る事すら汚らわしいとばかりに吐き捨てたツバは、
勢い良く飛んで、自分を見上げている真佐美の顔面に飛び散った。
「、、ヒッ!!」

そして、後ろも振り向かずに退出する校長。
後には、一人、全裸に布切れを纏っただけの土下座し続ける熟女。

、、、、、、、いったい、どれだけの間、そうしていたであろう、、、、
いつしか窓の外は、真っ暗となり、先程彼女が告げた様に、おそらく無人となった校舎内には物音一つ無い。

やがて、のろのろと立ち上がった真佐美は、まさかその格好で帰宅する訳にもいかず、衣服を取り戻す為、
あの淫行現場となった面談室へと向かうのだが、但、非常灯のみの明かりでボンヤリと照らされた校内を
フラフラと力無く彷徨うその姿はまるで幽鬼の様であった。

そして、、、、やっと到着した面談室に、だらしなく脱ぎ散らかされたままの自分の衣装と、鼻を突く様な
異臭に、あの事が間違え様のない事実である事を改めて突き付けられた思いの真佐美は、思わずその場で自ら
の身体を切り裂きたい程の後悔に襲われた、、、、、、

『、、、あぁ、、こ、、このまま、、このまま、、屋上へ、、、屋上で、、』
と、この場で全てを消し去りたい思いが浮かぶ真佐美、、、、、、

だが、、、、、やはり、生来の潔癖症のせいであろうか、、、、、
例え、どの様な形になろうと、自らのけじめは自分で着けねば、、、と、もはや、それだけを思い、
なんとか衣装を着ると、、、、ふらふらと、、その場を立ち去る真佐美であった。

だが、、、、それからの、出来事を、真佐美は、、、、、、もはや、、、良く、覚えては、いなぃ、、、、
いわゆる、自宅待機の状況がいったい、どれだけ、、続いていたのか、、、、1ー2日、又は3ー4日、、、

だが、、、ようやく呼び出しの連絡を受けた後、、学校へ向かった時は、、それは、まさに刑場へ連行される
死刑囚の如き気持ちであった事はハッキリと覚えている。

いつもの通勤コースでありながら、その道程はもはや地獄への一直線にしか思えぬ真佐美。
もはや曜日の感覚さえ喪失している真佐美は、外出した際の人通りでようやくその日が休日である事に気付く。

しかし、学園の門を通る際、受付の警備員が自分に向けた好色そうな目付き、、、、、
そして、校内を進むにつれ、ヒソヒソとあちこちから囁かれる陰口、、、、
『変態、、、、』『イロ気違い、、、』『露出狂、、、、』
玄関で待ち構えていたのは、校長ではなく、只の事務員の少女であった。

そう、たしか、、この娘は、、、、、たしか、、、かつて、自分に向け、、、、
『、、わ、、私も、、私でも、、教師になれますか、、、』
そう羨望の瞳を自分に向けながら、教職への夢を熱く語っていた少女である。
そして、そんな少女に、かつて、一度中退までしてしまった自分の過去が重なり、思わず胸が熱くなった
真佐美は、その手を取り、『辛いけど、、頑張れば、、絶対大丈夫よ、』と応援した際、まさに感涙さえ
流さんばかりに、興奮した少女であったが、、、、

今は明らかに自分を見下した感じで冷たい視線を向けている。
そして、言葉を交わすのさえも汚らわしいのか、クィッとあごをしゃくって、さっさと先導してしまう。
娘どころか、孫にさえ近い程の少女からさえも、向きだしの軽蔑を加えられる真佐美。
だが、、、自分は、、それだけ、のことを、、したのだ、、してしまったのだ、、、
と、反発するどころか、いっそうに心を萎縮させ、トボトボと少女の後を追う。

そして、広い会議室に案内され、扉を開いた瞬間、、、、、、
聞くに堪えない罵声、、、怒号が自分を包み込む、、、、
そう、、既に動画のレベルで完全に記録されてしまっているのだ、、、、
そして、おそらく、ここに居る誰もが既にそれらを見ているのであろう、、、、、

もはや、
『ホントウなのですか?』
『説明を?』

などと言う、生温い言葉などある筈もない、、、
そう、、そこにいたのは、教育に名を借りて、ひたすら自分の欲望を満たす事のみ忠実であった、トンでもない
毒婦、、、聖職者の仮面を被った但の色情狂とその被害者達の群れであったのだ。

そして、まさにそこで文字どおりにつるし上げを食らっている自分、、、、
周囲の保護者から浴びせられる罵倒の数々、、当然であるが、、、誰も味方など、、いない、、、
ひたすら、ただ、ひたすら土下座を繰り返し、、、
『お許し下さい、、、どうか、お許し下さい、、、』とだけ、言い続ける、、、、

とても、校内で、そして、真佐美がこれまでの人生で聞いた事の無い、様々な罵倒、嘲笑が永遠に続くかと
思うほどに、自分に向けられる、、、、、

だが、、、それと同時に、男性の保護者からは欲望剥き出しの視線が向けられている。
それは、平伏する真佐美の熟れた姿態をネットリと視姦しつつ、その瞳には
『ちくしょぅ、こいつ、そんな『おんな』だったのかぁ、、だったら、、、』
『今からでも、こいつ、なんとか姦れねぇかなぁ、、ちくしょぅ、、』
と露骨な欲望がハッキリ浮かんでいる。

様々な機会で、この熟女理事長に会った事のある男性保護者は、その誰も彼もが、とても50代に見えぬ
若々しい美貌と、熟れきって豊満な肉体を持つ理事長に邪まな欲望を持っていたのである。

そして、そんな理事長が起こしたトンでもない不祥事に、非難にかこつけて押しかけた男性保護者は、本来の
目的も忘れ、罵倒もそこそこに真佐美の姿態を無遠慮に見続けていた。

だが、女性保護者にそんな甘い(?)考えは微塵も無い。
安くない金額で子供の将来を鑑み、預けていた学園、そして、そのトップの理事長が実は、ウラでは、
男子高校生をツマミ食いする変態中年であったのだ、、、、、、

また、やはり女性として、自分たちより年上ながら、遥かに若々しい美貌の理事長に、密かに隠し持っていた
羨望、、、明らかな嫉妬がこの場で爆発してしまう。

「おかしいと思ってたのよっ!!どうせ、整形でもしてるんでしょっ!!」
「いったい、これまで何人の男の子とヤッちゃったのよっ!!」

様々な、聞くに堪えない罵倒が続く、、、、、、

だが、それもいつしか終わり、、、、と言うか、もはや当事者能力を失っているのは誰が見ても明らかな
真佐美を放置し、具体的な対策を教職員、保護者達とたてるべく、別室へと向かう一同。

そんな事さえ気付かぬ真佐美は、ひたすら土下座をし続ける。
それからどれほどの時間が経過したであろう、、、、、

いつの間にか、傍らには校長がおり、冷たく真佐美に告げる。
「もぉ、いいわ、、帰って。」
と簡単にそれだけ告げると、以前の様にあっさりと踵を返し、スタスタと退室していく校長。

「、、あ、、あ、の、、、」
聞きたい事は山の様にあった、、、、
事態はこれからどうなるのだ、、、学園は、、、生徒達は、、、、そして、、そして、、自分は、、、、

だが、、、、、、、
「いぃから、とっとと出ていってっ!!、、そ、そして、も、、もぅ、二度と来ないでっ!!!!」
だが、振り返った校長がまさに憤怒の形相でハキ捨てる様に宣言すると、もはや、何一つ言い返せない真佐美は
哀れにも、とぼとぼと学園を後にするしかなかった。

そうして、また、自宅に引きこもって数日後、、、、、

引きこもる真佐美の自宅の留守電は、やはり嘲笑と罵声でとっくにパンク。
その内容はと言えば、、、
『真佐美せぇーーんせぇっ、、エッチしようよぉっ!!、、ギャハハハハ!!』
『変態中年、サイッテェーーーッ!!』
『、、こ、、こんど、、僕とも、、僕とも、、お願いします、、、、』
等など、、、、

また、仕事を考慮して設置されていた大型Faxからは、大量のFax、それも実に鮮明なエロ画像が、、
あの時の生徒達が撮影したであろうモノの数々がどんどん出力され、床上に散らばり続けている。

そう、それは真佐美は与り知らぬことであったが、在りし日の真由美の家と同じ状況であった。

そして、どうしようもなく、空腹になると近くのコンビニへ行くのだが、その往復もまた針の筵であった。
マンション内ですれ違う隣人だけではない、どこで伝わったのかコンビニの店員までも、自分に向け、
露骨な蔑みの目、、もしくはその姿態への好奇、、、いや、はっきりとした欲情の眼差しを向けている。

そしてそんな引きこもりの合間にポストに投函された書類の数々。
曰く、『学園に関する全ての権利を放棄します。』と言う書類。
だが、もはや、自分の意志等無いも同然の真佐美は、それらの書類にさえ何の躊躇いも無く実印を押して行く。


しかし、、、それだけでは、、、済まなかったのである。
「ピンポォーーンッ!!」
もはや、誰ひとり訪れぬであろう、真佐美のマンションに鳴り響くチャイム。
恐る恐る応対した真佐美に来訪した女性は、、、、
『自分は学園から委任された弁護士である。話があるから中へ入れてくれ。』
とだけ、言うと、脅えながらもドアを開けた真佐美を無視し、ずかずかとリビングへ入る。

そして、そこで告げられたのは、、、、、、、
『田中君、、知ってますね、、、、』
そう、それは、あの、淫行の相手、、そして、その名前を聞かされた真佐美にとって、
いったい何を抗える事が出来るであろうか、、、、、

例え、それが、、、、、
『相手の保護者から名誉棄損等で莫大な損害請求が出ているので、あなたはその財産全てを使って払いなさい』
というものであろうと、、、、、

『お会いして、、せめて、お会いして、保護者の方に、直接謝りたい、、、』
と縋る思いで訪れた弁護士に頼んだが、、、、、、その女性弁護士は、ただ一言、、、、、
『、、、、聞かなかった事にします、、、、、』
とだけ、冷たく答えた。

おそらく、大凡の実情は聞いているであろう、その女性弁護士の瞳は、冷たい軽蔑の眼差しの中、ハッキリと
こう告げていた。
『いったぃ、どれほど、恥知らずなの、、会えると思っているの、会ったら、あなた、○されちゃうわよ』と。
そう、なのだ、、、確かに、、自分は、、それだけの事を、、前途ある少年に、してしまったのだ、、、
そして、力無く項垂れる真佐美は、やはり、様々な譲渡証、委任状へも、ただ言われるがままに捺印していく。
部屋どころか、家具、衣装、まさにその全ての権利を放棄していく書類へ、、、、

そして、最後にその弁護士は簡潔に結論を述べ、さっさと退室していった。
『それでは、退去は明日早朝。と言うことで、、それでは、、、』
そして、そんな決定的な言葉を掛けられながらも真佐美は、ただ、ぼんやりと室内に座り込むだけであった。




そして、その翌朝、一睡も出来なかった真佐美だが、とりあえず当面の着替え、若干の費用をバックに入れ、
身だしなみを整えて、おそらく訪れるであろう使者を待っていた。

だが、予想どおり訪れた昨日と同じ弁護士は、つかつかと室内に入り、リビングで待機していた真佐美を
一瞥すると、態とらしい程に大きなため息をつくと、あきれた仕草でこう告げる。

『ふぅぅーーーっっ、、あなた、、何も判ってないのね、、、あのね、、ホント、、謝る気、、、あるの?』
自分よりも遥かに若いであろうその弁護士に、露骨な軽蔑の視線を向けられた真佐美であるが、正直、何が
悪いのかが判らず、ただ、狼狽えるしか出来ない。

そして、そんな真佐美に告げられる衝撃の言葉。
『ここには、もぅ、あなたのモノは何一つ無いの、いぃっ!!何一つよっ!!』
『だから、そんなお上品なスーツもシューズも、いぃぇっ!!下着一枚も、もうあなたのものじゃないのよっ!!』
そう叫ぶと、後ろで持っていた、およそ擦り切れ草臥れたジャージの上下、そして、100円ショップですら
売って無い様な粗末なサンダルを放り投げたのだ。

なんと、その弁護士はこの場で真佐美に丸裸になり、これに着替えて出て行け。と言うのである。
更に、
『あぁ、そぉそぉ、カードやキャッシュも当然、置いていってね、、、』
まさに無一文の丸裸で追い出そうとする弁護士に、さすがに耐え兼ねた真佐美が、恥辱の涙を流しながら
抗議の声を上げるのだが、、、、

『、、そ、、そ、れは、、あんまりです、、だ、って、、だって、お金も無しで、、そ、そんな、そんな、、』
『あなたにそんな事が言える権利があるとでも思ってるのっ!!あの子は私の弟なのよっ!!』
突然明かされた衝撃の事実。

その現実の前に、もはや言葉も出ない真佐美は、ただ顔面蒼白となったまま立ちすくむが、、
その次の瞬間には、先程までの抗議の態度もどこへやら、慌てて平伏してしまう。

『お、お許し下さい、、どうか、、どうか、、お許し下さいっ!!』
『あ、あなたのせいで、あなたのせいで、家族は、私の、家族は、、、いったい、どうしてくれるのよっ!!』
若々しい美貌を、まさに憤怒の形相で歪ませ、眼下に平伏する熟女を罵る女性弁護士。

確かに、そうであろう、、、いくらヤリたい盛りの高校生とはいえ、まさか白昼の校内でしかも自分の母親より
年上の熟女と性交し、更にそれを大勢の教職員、生徒達に目撃されてしまったのだ、、、、、
その家族にいったいどの様な修羅場が訪れたかなど、想像するまでもないではないか、、、、
そして、それは、眼前の女性の形相を見るだけでも十分であった、、、、、、、

『お許し下さい、、どうか、、どうか、、お許し下さい、、、、』
まさかにも訪れた女性弁護士が、あの少年の姉であったなど思いもしなかった真佐美は、もはや一言の
抗議すら出来ず、ただ、、ただ、ひたすら平伏、、土下座で謝罪し続けるしかなかった。

『、、本当だったら、、あなたなんか、、あなたなんか、、八つ裂きにしても、飽き足らないわっ!!』
『、、、、、、、、このまま、、あなたなんか、、、、あなたなんか、、、、、』
抑え切れぬ感情の爆発を懸命に堪える女性弁護士。
だが、、、、辛うじてそれ以上の爆発を抑えたもの、、、それはやはり弁護士としての矜持であろうか、、、、

『、、、ふんつ!!もぉ、いいわ、これ以上ここで爆発したら、どっかの学校で男の子をゴーカンしちゃった、
 どこかの誰かさんと同じだもの、、、、、』
言外に
『私はあなたとは違うの、、理性ってものがあるのよ、、、、』
と露骨に侮辱な指摘をする弁護士であるが、もはや何を言われても逆らえぬ真佐美は、ひたすらその間も
土下座をし続けるしかなかった。

『さぁ、もぉ、いいでしょ、私も忙しいの、いつまでもこんなトコにも居たくないの。』
そして、その言外の通告に、もはや抗う術も無くした真佐美は、のろのろと立ち上がり、ジャージを掴むと
更衣室へ向かおうとするのだが、すかさずそれを遮る声が上がる。

『あぁらぁ、どちらまで、奥様、どうかそこでお着替えなさって。ご自慢のお身体、ぜひ、拝見したいわぁっ』
あからさまな嘲笑を投げられても、もはや抗議すら出来ぬ真佐美は観念したかの様に、ノロノロとその場で
衣装代えをし始めた。

そして、脱衣し下着だけになってジャージに手を伸ばす真佐美だが、短く、そして鋭く叱責されてしまう。
『そ・れ・も。』
思わず、涙に濡れる瞳で女性を見る真佐美だが、眼光鋭く自分を睨む視線に居竦められ、震える指先を
ランジェリーにあてる。

遂に素っ裸にジャージと言う、まるで変質者の様な風体となってしまった真佐美。
擦り切れたジャージは、おそらく意図的であろう、、明らかに上下共にサイズは2回りは小さく、
豊満な真佐美の姿態を包むのには無理があった。

特に巨大な乳房でハチ切れんばかりに盛り上がった胸元の卑猥さ、、、、
なんとその部分は、どう足掻いてもファスナーが閉まらず、真佐美の雪白の乳房の深い谷間が大きく
剥き出しになってしまっているのだ。

そして、それだけでも卑猥極まりないのに、小さなジャージのスボンは当然の如くであるが、股上も極端に浅く
まるで一時流行ったローライズパンツの如き有り様であり、おへそどころか女性特有の大きく張り出した
骨盤のでっぱり、どうかすれば下腹部まで丸見え、うっかり屈めば、生尻の割れ目すら覗く程なのだ、、、、

そして、胸元と格闘(?)していた真佐美が、どうしても閉まらないファスナーに、まさに泣きそうな面持ちと
なって、小さな声で哀訴をする。
『、、、あ、、、あ、の、、、、、し、、閉まらない、、、んです、、、が、、、』
だが、まさに鬼の様な形相で、自分の大切な家族を崩壊同然に追い込んだ変態理事長を凝視する女性は、
わざとらしい程に芝居がかった仕草で問い直す。

『はぁ?、なにかおっしゃいましたかぁ?、お声が小さくて良く聞こえませんわぁ!!』
『、、、、あ、、あの、、ですから、、、し、、閉まらないんです、、、、』
『えぇっ!?、なんですぅ、どこが閉まらないんでってぇ?ちゃんと判る様に場所までおっしゃって下さい。』

そんなわざとらしい女性の問い直しにも、もはや反論する事さえ許されぬ真佐美は、恥辱のあまりに
耳まで真っ赤に染めながらも、弱々しく哀願するしかなかった。
『、、む、、むね、、です、、このままでは、、む、胸が、隠せません、、見えて、、見えてしまいます、、、
 お、お願いでございます、、、せめて、、せめて、この上に何か羽織るのを、、お許し下さい、、、』

だが、そんな懸命な嘆願も女性弁護士には通じない。
それどころか、、、、
『うふ、いやですわ、理事長先生ったら、、『お胸』だなんて、、先日はもっとストレートな呼び方で
 おっしっやてたじゃありませんか、、、、言い直して下さりませんか、、それも、もっと大きな声で。』
『、、!?、、そ、、そ、んな、、、、、、わ、判りました、、、、、、』
そんな遠隔な強制を受け、涙ながらに直接的な名称を絶叫させられる真佐美。

『お、、オッパイが、、お、オッパイが、、見えてしまいます、、それに、これでは、、お、お腹も、、
 お願いです、、お願いですから、、どうか、、何か羽織らせて下さい、、、』
だが、そんな必死な嘆願も鼻で笑って却下する女性。

『まぁっ、ホント、素敵なオッパイが丸見えですわねぇ、、、でも、良くお似合いですわ、理事長先生、、、
 さすが、大勢の生徒さんの前でエッチな事しちゃうだけありますわ、、それにご自慢の素敵な
 オッパイを見せるだけじゃなくて、可愛らしいおへそまで見せるなんて、、、』

『ほんと、そんな御年でご立派、とても私には真似出来ませんわぁ、ですから、、どうぞそのまま、
 お出掛け下さい、、うふふふふ、、』

室内にいる今でさえ、恥辱で正気を失いそうな真佐美なのだ、、、、、、
確かに最近の若い女性達の中には、この様に大胆過ぎる程に大きく胸元を晒したり、お腹を露出して人ごみを
闊歩する者もいるが、そんな格好、自分がしたなら、正気を疑われてしまうではないか、、、、
思わず絶句する真佐美は一縷の望みを掛け、眼前の女性に縋り付く様な視線を向けてしまう。
『!?そ、そんな、、、こ、こんな、、こんな、、、格好で、、、、外へ、、なんて、、は、恥ずかしい、、』

だが、素に戻っている真佐美が恥辱の涙を堪えながら、小さな声で哀訴をするのだが、あの学園内の
空前の不祥事しか知らぬ弁護士は、その逆鱗に触れたのか先程までの冷笑の芝居も忘れ、再び憤怒の形相に
豹変すると激烈な罵倒を始める。

『はぁっ!?、は、恥ずかしいですってぇっ!?、あんた、、あんた、今更何言ってんのっ!!』
『あんた、自分のした事、ホント判ってないんじゃないの?』
『教師、理事長が学校の生徒を、しかも校内で、おまけに昼間、大勢の生徒の前で、、、、』
『あんたみたいな『おんな』丸出しの人がいるから、いつまでたっても『おとこ』が女をねぇ、、、』

確かに法曹界であっても、やはり若い女性が弁護士としてやっていくには色々とあるのだろう、、、、
おそらく『セクハラ』紛いの事、イヤな思いもしてきたであろう、、、、、
しかし、それを懸命に堪えて、今の自分の地位を築いてきた、その女性弁護士は、実は面識は無いのだが、
弟の通う学校の理事長が、未亡人でありながら女性の理事長として学園を運営してると聞き、密かに
『同志』として思っていたのである。

だが、、、その女性が事もあろうに、、、、しかも自分の弟と、、、、、
一方的ではあるのだが、『裏切り』としか思えぬその女性の行動に、弁護士は怒りを抑える事が出来なかった。

『あんたみたいな変態女、なんだったらビキニ、、、それともほんとに素っ裸で放り出しても良いのよっ!!』
その想像するだけで恐ろしい台詞を告げられると、慌てて瞳を逸らし、黙るしかない真佐美。

そして、ひとしきり罵倒し、気が済んだのか、自分の見幕に脅え平伏し続ける女性に若干の沈黙の後、告げた。
『、、、、、、それでは、理事長先生、、さようなら、、、、、』
そう、冷たく宣告された真佐美は、もはやこれまで、と、恥辱に震える指先で懸命に露わな胸元を抑え、
剥き出しの下腹部にも手のひらを当てながら、今にも萎えそうに震える足元で、ふらふらと玄関先へと向かう。
そして、草臥れたサンダルを履き、懐かしの我が家から出ようとした、その時、、、、

『、、、、、ちょっと、待ちなさい、、、、、、、』
なぜか、突然に玄関先へ追いかけてくる女性弁護士。
『、、、、、ちょっと、言い過ぎたわ、、私も、、確かに、、無一文は、、、あんまり、、ね、、、』
そんな思いも掛けぬ優しい言葉に、思わず涙ぐみそうになりながら、振り返る真佐美。
そして、安堵の表情を見せる熟女に、優しく声をかける、その彼女は、、、、
『はぃ、、ほら、、手を出して、、、、、』

そして、、、、、言われるがままに、手を出した真佐美の掌の上に、、、、、、
『、、はぃ、100円上げる。』
ぽぃっとばかりに掌に置かれた一枚の硬貨。

その事実に、意味が掴めず思わず彼女の顔を見上げるのだが、ニッコリ微笑むその女性弁護士に、
からかわれたのだと、ようやく気付いた真佐美は、そのあまりの惨めさに大粒の涙をポロポロと
流しながら、悔しげに掌の硬貨を見つめるしかなかった。
そして、それに追い打ちを掛けるかの様に投げ付けられる言葉。

『あらぁ、それじゃぁ、多すぎたかしらぁ、、それとも、、ひょっとしてだけど、、まさか、何か不満でも?』
言い返したい、、、何か、、言い返したい、、が、、言い返せない、言い返せる訳がない、、、、
それだけのことを、、、それほどの、ことを自分はしてしまったのだ、、、、
『、、、、な、、、なんでも、、ありませんわ、、、、、』

そして、さらに微笑むと最後にこう告げる女性弁護士。
『うん、じゃ、とっとと出て行って。』

高級マンションの通路にまるで似合わぬ、草臥れたジャージでサンダルの年増女。
しかも、そのジャージは身体に合わぬのか、胸元と言い、尻回りと言い、熟れた身体にピッタリと張り付き、
おまけに豊満な乳房の谷間におへそまで露骨に露わにして、卑猥極まりない。
トボトボと力無く歩く真佐美は、路上へ出たものの、いったいそれからどこをさ迷ったのであろう。

無一文、おまけにいい年をして、ジャージにサンダルでは、変質者スレスレの不審者同然ではないか。
住まいであった、高級マンションの位置する住宅街に、およそ似合わぬ今の自分の風体にいたたまれず、
とにかく、どこかへと移動しようと歩みを進める真佐美であったが、、、、

どこかへ?、、、、、、だが、、、、どこへ、、、、いったい、、どこへ、、、、


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