4−3

悪魔の様な女性陣に囚われ、遂に整形手術までされてしまった真佐実。
しかし、その不屈な精神は反撃の時を待つ。

そして、その機会はとうとう現実のものとなった。

どのような意図の下であるかは判らぬが、真佐実は別の場所へと移される事となった。

そしてこの狭い閉鎖空間内の真佐実の部屋着である、ブラの様なタンクトップとショーツ同様のホットパンツのみの
上に白衣を纏わされ、居場所を知られぬ為かアイマスクをされた真佐実は、移動を命じられて車上の人となった。

だが、リハビリ中での従順な芝居が功を奏したのか、なんと手錠の様な拘束もなく、ただ車の後部座席に
スタッフの一人と並んで座らされているだけと言う、警戒の緩さである。

そして、動き出す車の中、かなりの距離を移動した後、なぜかアイマスクを取る事を許された。
ほんとうに久しぶりに目の当たりにする外の光景であったが、意外な事に時刻はかなり早朝の様である。

あの閉ざされた部屋の中、どうやら時間の感覚もかなりおかしくなっていたらしい。
もっとも、やはり拉致同様に拘束され、同意もなしに手術する様な非合法な手段に関わる手合いであるから、
やはり移動には、なるべく一目に着かない、早朝の明け方を選んだのであろう。

そして、それが車内のスタッフの油断へと繋がった。

車が信号待ちで停車し、発進するその一瞬の隙を突き、おもむろにドアロックを外した真佐実は、
すかさず車内から逃げ出そうとしたのであるが、それに気付いた隣の男が、慌ててそれを抑えようとしても、
手元で掴めたのは、上着代わりに着せられた白衣の裾だけであった。

そして、今、この機会を逃すものかと、必死になった真佐実は、最早、些かの躊躇もなく、あっさりと
白衣を脱ぎさり、まさに転がる様な勢いで車外へ出ると、更に反対車線側の車を夢中でよけ、
あっと言う間にそちら側への歩道の人となってしまう。

真佐実の脱走に気付いたスタッフが慌てて車を止めようにも、後ろから煽られ、更に反対車線にも車の列もある。
どうにもならず、ただ走り去る車を後に、必死で逃走する真佐実の姿は明け方の街中へと消えていくのであった。


「はぁ、はぁ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、、、、、」
まさに無我夢中、必死の思いの全力疾走で逃げ続け、ようやく公園の様な場所を見つけると思わず駆け込み、
更にそこに公衆トイレを見つけるその中へ逃げ込んでしまい、ようやく異臭漂う個室に隠れると、急に今、
自分の仕出かしたことの大胆さに思わず身震いしてしまう真佐実。

『、、?、、?、、に、逃げられた、、の、、、、ほんとに?、、逃げる事が、、出来た、の、?』
周囲を憚り、声を出すことすら躊躇う真佐実は、この幸運を信じられずにいたが、やや、落ち着くと、
今は、ひたすら無茶な動きで酷使した身体を休める事に専念する事にした。

やがて、少しずつ落ち着きを取り戻した真佐実は、ひたすら状況を整理するべく、夢中になって考え始める。

『、、、そ、ぅ、、とにかく、、味方を、、信頼出来る味方が必要よ、、、』
あの奸智に長けた少女達だけでも恐ろしいのに、今やかつての部下である校長の山田女史までもが、
自分の敵なのだ。

この状況を打開するには、、、、、、、、、、、、

やはり、不本意ながら学園の人たちに、協力を願うしかない。
自分に、そして娘家族にも、文字通り、言葉に出来ぬ程の酷い事をする連中の相手をするのだ。
もはや、こちらも綺麗事だけでは対応出来るハズがない。

そう、決心を固めた真佐実は、明け方の都会の中、人目を避ける様に、遠く、学園までの道のりを
その半裸同然の衣装のまま、歩きで目指し始めた。

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