最終章 3-8


ピチチチチチチ
『、、、、、、、、、、、、、、、』
隣室どころか、すぐ真横、息すら感じられるほどの間近で行われた濃密な男女の交わり。
そのすぐ横で果たして寝られる者がいるであろうか、、、、
少なくとも、自分は無理であった、、、、
ほぼ、一睡も出来ず、憔悴し切った真佐美が明け方ようやくウトウト出来た頃、
もはや外からはリビングに陽光が射し、鳥のさえずりさえも聞こえ始めている。

その、まさにあっと言う間に訪れてしまった朝の早さに、真佐美が絶望している時、幸せの絶頂にいる
隣のカップル(?)は飽きもせずに愛の営みを始めようとしていた。

「、、、、、、あぁ、、もぅ、こんなに、、、ねぇ、、昭夫、、イィでしょぉ、、ママ、、我慢出来ないのぉ、、、」
「、、、、もぉ、しょうがないなぁ、、、ママは、、、、」
これが実の母子、しかも自分の娘とその子供の会話であろうか、、、
だが、薄目を開けて確認する真佐美の瞳には、まさにカップルの様に全裸で横たわった母子が、
まずは朝勃ち状態の昭夫の股間に手を伸ばした真由美が、その無限の精力を
誇る絶倫振りに手コキを始めておねだりをし、見る間に硬度を増す逸物の魅力に
堪えきれず、姿勢を起こして大口を開いてソレを銜え込む様が、まさに眼前で行われ様としていたのだった。

止める事も無視する事も許されぬ哀れな真佐美は、卑猥に湿った音をたてながら、
夢中で息子のムスコを嘗めまくる真由美の淫技に堪えきれず、起床の振りをして
言葉好少なに声を掛け、その場を後にすることしか出来なかった。

「、、、、おはよう、、、真由美、、、昭夫、、、、」
「、、、、あ、、おはようございます、、お母様、、、、あ、、アンン、、」
「おはようございます、、、、真佐美ママ、、、、ンンンッ、、」
真佐美の挨拶に応じながらも、もはや何の躊躇いも無く、身体を起こした真由美は、
そのまま大股を開いて昭夫に股がると、恥ずかしげもなくそのまま昭夫の剛直の
上へと腰を下ろし騎乗位で交わり始め、昭夫もまたすかさず腰を振りながら
真由美を責め始める。

『朝からお盛んなコトねッ!!』
そう口にしなかったのは真佐美の意地であろうか、、、、
最早、恥も外聞も無く、獣の如き悶え声を上げながら交わり続ける実の母子達の
声を背中に受けながら、些かも回復していない疲労の極みにある重い身体を引きずってその場を後にする真佐美であった。

『、、、これから、、、これから、いったい、、あぁ、、なんで、こんなコトに、、、』
朝の小用の為、個室に入った真佐美は、本当に久々の個人空間(?)に安堵しながらも、
今日の予定を思いだし、絶望せずには居られなかった。

あの2人、、実の母子でありながら、もはや堂々と身体を交えるあの2人をこれから
学園の教職員へ紹介し、採用を認めねばらぬのだ。
『、、、なんで、、なんで、、こんなことに、、、、、』
だが、久々の個室の静寂の中、疲労の極みにいた真佐美は、不覚にも、
そのまま意識が薄れていくのを、もはやどうすることも出来なかった。



「、、、、様、、、お母様、、、、」
『、、、、、、ん、、、んん?、、、!?、、、、』
「、、、、、な、、、、なんて、、こと、、、こんなトコで、、、、」
遠くに聞こえる真由美の声で意識の戻った真佐美は、自身の状況を思いだし、
思わず赤面せずにはいられなかった。
子供でもあるまいし、この年になってトイレの個室で居眠りするなどまるで小学生男子ではないか。

慌てて、外へ出て、身繕いをしながらダイニングへと向かう真佐美。
だが、そこにはこれまでとは別な意味での衝撃的な光景が広がっていた。

「あっ、おはようございます、お母様、すみません、お台所、勝手に使ってますわ、、
 昭夫、、、もうすぐですから待っててね。」
「うん、、ママ、ぼく、お腹すいちゃった。」
そう、、そこには、一見、まったくごく普通の家族の朝の食卓の風景があったのだ。

つい先刻での獣の様な禁断の交わりに溺れていたコトなど全く想像出来ぬほど、
甲斐甲斐しく朝食の準備する真由美と、それをキチンと食卓で待つ昭夫。

衣装さえも、先ほどまで素っ裸であった事など無かったの様に、昨日と同じ衣装を纏っている。

だが、なによりも衝撃的であったのは、やはり真由美の様子であった。
昨晩、あれほどに激しい行為を繰り広げ、朝ですら起き抜けにアんなコトをシたにもかかわらず、
その動きの軽やかさはどうであろう。

しかも、その踊り出しそうな程の軽快さの一挙手一投足が悦びに包まれているとしか思えぬのは、
やはり女性ならではの捉え方なのであろうか。

だが、唖然と見つめる真佐美の視線の先、食事の支度に勤しむ真由美の姿は、
やはり女として満たされているとしか思えぬ程の多幸感、輝きに満ちて見える。

その光輝く様な笑顔に張り艶のある素肌、、、、、、、、
先ほど、身支度を整える際に洗面台へと寄った際、鏡に写った自分の素顔を思いだし、
思わず、暗い女の情念の様なものが浮かび掛け、必死でそれを抑え込む真佐美であった。

『、、ち、、違うわ、、絶対に、違う、わ、私は、、私は、、そんな女じゃない、、そんな女じゃないわよっ。』
だが、、、、哀しいかな、一度芽生えてしまったその疑念は、押さえ込みはしたものの、
真佐美の心の奥底に沈みこそすれ、もはや決して消え様とはしなかったのである。

だが、そんな真佐美の思いを逆撫でするかの様に、食事の合間ですら、昭夫を世話をマメマメしくする真由美。
「昭夫、、どぅ?、、美味しいかしら?、、、お代わりは?」
などなど、、、、、
そして、若さを誇るかの様な食欲で朝から健啖振りを示す昭夫をウットリと見つめるその、
真由美の様は、まさに新婚カップルさながらではないか。

そして、食事を終え、いよいよ学園へと登校する時になった時、さすがに確認せずにはいられない真佐美。
「、、、、、ね、、ぇ、、、あ、あなた達、、、本当に、、、そ、その、うちの学園に、、、、」
すると、その質問を受けた途端、先ほどまで明るさが一気に影を潜めてしまう真由美。

「、、、、ごめんなさい、、お母様、、、で、、でも、、でも、仕方無いんです、、、、
 そうしないと、、、そうしないと、、、佐和子が、、佐和子が、、、、」
「、、!!、、ご、めんなさい、そう、よね、、仕方ない、、仕方無いわよね、、、、」
人質状態の佐和子のコトを思えば、抗うことなど出来る筈もない。
そんな事実を改めて思い知らされた真佐美は、もはや真由美達の行動を
止めるコトなど出来はしなかった。

だが、実際に登校するべく外出した際、真由美がごく自然に昭夫に腕を絡めていき、
それを同じくらいに自然に受け入れた昭夫の仕草にもまた、邪な感情を抑えきれぬ真佐美。

そして、マンションを出た所での真由美から意外な提案が為される。
「、、、あ、、あの、、、お母様、、、私たち、、これから別の場所へと寄る様に言われていますの、、、、」
「、、、、それと、、、お母様の学校での、、、ことですけど、、、その、、、
 め、、命令ですので、、、どうか、、どうか、、従って下さいね、、、出ないと、、、」
辛そうにそこまで口にして言葉を濁す真由美の様子に、真佐美が母として
いったい何が言えるであろう。

例え、ケダモノに堕ちても、自分にとって真由美が最愛の一人娘である様に、
真由美にとっても、佐和子は可愛い一人娘なのだ、、、、、
そして、そんな佐和子を人質に取られている真由美の心情を思いやる真佐美は、
ただ、全てを受け入れる事しか出来なかった。
「、、、、え、えぇ、、もちろん、判っているわ、、、大丈夫、、大丈夫よ、、佐和子の為だものね、、、、」
だが、むしろ、その言葉は半ば以上自分に言い聞かせている真佐美。
しかし、そうとでも思い込まねば、昨日からの出来事は、まさに心が折れかねない程に
衝撃的な事の連続であったのだ。

だが、朝の雑踏へと消えていく母子を見送りながらも、何かとてつもない
イヤな胸騒ぎに襲われてならない真佐美であった。





そして、やはりそのイヤな予感は的中してしまう。
思い足取りで学園へ着いた真佐美は、周囲の教職員や生徒から明るい挨拶にも、
健気に笑顔で応じるのだが、さすがに校長の山田女史から挨拶された際は
その笑顔もひきつらずにはいられなかった。

「お早うございます、理事長先生。」
『!?、、、ヒッ!!、こ、校長先生、、、、、』
その明るく快活な挨拶に、その声の主を察した真佐美は、つい先日の惨劇を思い出し、上げかかる悲鳴を
懸命に堪える。

そして、脅える真佐美に対して、あくまでも上司への礼を欠かさぬ口調で会話を続ける校長。
「理事長先生、、、ひょっとして『あの事』が心配なんですの?でも、もう仕方ありませんわ。」
「それに、『そんな事』を心配していて歩くのは、少々如何なものかと、、、、、、、」
そして、意味ありげに周囲に視線を向ける校長。

その仕草に、思わず周囲を見回す真佐美であったが、そこには未だ学校から遠い為、ほんの数人ではあるものの
何人かの生徒達が、興味深げにこちらを伺っているのが見て取れる。

「、、、、あっ、、お、お早う、、、、」「、、お早うございます、理事長先生、校長先生、、、、」
必死に浮かべた強ばった笑顔で、なんとかそれらの生徒に向け、挨拶をする真佐美。
すると、2人並んで歩く、学園の美女ツートップに訝しみながらも挨拶を返す生徒達。

すると、
「それでも、ほんと、理事長先生のご英断には感心致しますわ、、、でも、そうですわよねぇ、、、、」
「新しい職員の方も、きっと職員や生徒達から受け入れてもらえますわよ、、えぇ、きっと、、、」
なにやら、そう一方的に話す校長であったが、もはや心、ここにあらずの真佐美は、引きつった様な笑みを
浮かべ、相槌を打つのが精一杯である。

もっとも、『新しい職員』の単語はむしろ周囲の生徒達にさざ波の如く、広がって行く。
それを察して、内心で快哉を上げる校長。
そう、、これは、もちろん、あまりに意気消沈している真佐美を叱咤する事もあるのだが、学園に現れる
新参者の根回しも含めたやりとりなのであった。

おそらく、今、周囲にいる生徒達は登校の後、さっそくそれらの情報を学園中に振り撒いてくれるであろう。
内心でほくそ笑む校長と、もはや生きた心地すらしない理事長はやがて2人揃って学園へと入って行った。


そうして、ようやく到着した学園。
周囲の生徒、教職員達からの挨拶への返礼もそこそこに、逃げるかの如く理事長室へ向かう真佐美であるが、
そのかつての自分の城に居られたのも、ほんの僅かの時でしかなかった。

トントンッ
「失礼致します、理事長先生。全体会議のお時間です。」
軽快なノックの音と共に、弾む様子も隠し切れぬ校長の声がドアの向こうから響いて来た。
そう、、、、、遂に来てしまった『お披露目』の時。

これから起きる愛しい娘家族への辱めを思い、まさに気も狂わんばかりに心乱される真佐美であるが、もはや
どの様な抗いも叶わぬこの身であれば、ただ足取り重く、大会議室へ向かうしかない。

そうして始まった会議であるが、正面のいつもの定位置についた理事長と校長が取り仕切る会議は、
なにやら理事長の顔色がすぐれぬままではあるが、通常どおりに議事進行し、そして、最後に校長が
こう発言し始めた。

「はぃ、業務連絡は以上ですが、本日は理事長先生から皆さんにお願いがあるそうです。」
「つきましては、私は少々、その準備がありますので、少し退室致します。では、後、お願いします。先生。」

『!?、、、!!、、、そ、そんな、、お、、お願い、、、、』
本当に、この自分に『あんなコト』をさせるつもりなのか、、、、、、
血を分けた実の娘、そして孫に、、そして、それをこの私、自らの口から、、、、、、
そのあまりにも惨い仕打ちを思い、最後の望みを掛けて縋る様な瞳で、席を立った校長を見上げる真佐美。

だが、、、、、、
「お・願・い・し・ま・す・ね。理事長先生。」
わざとらしい程にゆっくりと念を押して強調する校長は、一見笑顔ではあるものの、その瞳はかけらも笑みを
浮かべていない。

そして、あっさりと一時、退室していく校長。
妙な雰囲気を察し、室内の教職員全ての視線が自分に集中するのに気付いた真佐美は、もはや自分が完全に
逃れられない状況に追い込まれていることを悟らざるを得なかった。


まさに、水を打ったかの様に静まりかえった会議室内。
そこにいる全ての教職員が自分を見つめている。
そう、、、それはこれまで数限り無く繰り返されてきた状況、、、、、、、、
自分に注がれる大勢の視線の中、凜とした声音で発言を行い、指示を出し、、学園を支え、、、、、、

だが、、、、、、、、、、
「、、みっ、、みな、、、、、」
緊張(?)のあまりに、声が裏返る事さえ抑える事が出来ぬ真佐美は、その自ら発したヒッくり返った声の
あまりの珍妙さに、発言を中断せざるを得なかった。

『、、、あぁ、、で、、でも、、言わなければ、、、言わなければ、、、、』
大切な娘家族が、、、、人質の佐和子は、いったいどうなってしまう、、、、、、、
もはや、完全に思考が後ろ向きとなってしまっている真佐美は、これまでと観念し、そのあまりにも
惨めな報告を教職員達へ、遂に行い始めてしまう。

「あぁ、、う、、うぅんっ、、ご、ごめんなさいね、、ちょっと、痰がからんじゃって、、、」
そうごまかす真佐美であるが、無理やり浮かべた笑顔は、引きつっているのがありありと見て取れる。
だが、そう無理にでも笑顔を浮かべでなければ、これから自分がするあまりにも不自然な発表をごまかしようが
無いではないか。

「き、急な決定で申し訳ないのですが、、、、、、、2人ほど、、職員を、、、採用したいと思います。」
「あの、、わ、私の遠い親戚の、、、2人なのですが、、、す、少し事情があって、、、その仕事に、
 困っている様子なの、、、、、、」
「そ、それで、、、その、、仕事が、見つかるまでの、間、一時的に、、ウチの学校で、、、ちょっと、、
 し、庶務の、仕事を、、、お、お願いしようと思っているんです、、、、、」

しどろもどろになりながらの説明は、いつもの快活な理事長には全くもって相応しくない。
だが、いくら強制されたからと言っても、愛しい娘家族をいったいどうすれば『ホームレス』だの『中卒』だの
と言えるであろうか。

真佐美が発した『採用』の言葉に、興味津々となって自分を注目する一同の熱い視線に晒されながら、なるべく
温厚な表現で事情を説明し続ける真佐美。

そして、その最中、遂にその当事者を連れて先程退室した校長が再び会議室内に戻ってきたのだ。

「遅くなりました、、、お2人をお連れ致しました。」
だが、そんな校長の声で、その入り口を見た真佐美は、意外な光景に唖然とするしかなかった。

なんと、そこには、若々しいビジネススーツに身を包んだ男女が居たのである。

そう、、、真由美はともかく、強制女体化を施術されている昭夫は、おそらく
コルセットでも巻いているのであろうか、膨らまされた胸の膨らみは見事に隠され、
懍とした美少年振りも凛々しい佇まいであり、傍らの真由美もまたとても2人の子持ちとは
思えぬ位に初々しい、いわゆるリクルートファッションでいるのだ。

『、、、ど、、どう言うこと、、いったい、、どうなってるの、、、』
確か、先日、真由美達は淫らな行為をこの学園で行わせる。と言われていた筈である、、、、

だから、今朝マンション前で別れた際も、おそらくはなにかトンでもないハレンチ衣装を着せられ、
そしてそれで登校させられ、辱しめを受けるのではと覚悟を決めた真佐美であったのだが。

これでは、ごく普通の新入職員の紹介ではないか。
いや、それが悪い訳もなく、淫らな衣装で来られるよりは遥かに増しのだが、、、、、、

だが、そんな真佐美の安心(?)など、杞憂に過ぎない事は次の山田女史の説明で明らかにされてしまう。

唖然とする真佐美を他所に、新たな職員の説明を始める校長。
「みなさん、、今日から皆さんと一緒にしばらくの間ですがお仕事を手伝ってもらうお2人を紹介いたしますね。」
「本当は理事長先生にお願いしたいのですけど、お2人とも先生のお知り合いの方からの
 依頼だそうですので、やはりそう言う場合は、当事者の理事長先生ではなく、
 私からご説明する事に致しますわ。」

そこからペラペラとまさに立て板に水の如く、ウソ設定を説明する校長。
曰く、こちらのカップル、ある事情でどうしても働く必要に迫られている。
それだけならば、さほど珍しくも無いのだが、出来ればカップルで、それも同じ職場が希望。
おまけに、そのある事情とやらのに理由で、多少時間が融通出来る職場が良い、、、、
と、昨今の就職事情思えばかなり我儘で、みつかる筈もなく、仕方なく
知り合いの真佐美にお願いした。と言う事らしい。

そして、校長に促されて互いに挨拶をする2人の言葉に心底呆然とするしかない真佐美。
「私、鈴木真由美です、、、年は25歳になります、短い間ですが、
 頑張ってお仕事覚えたいのでよろしくおがいします。」
「僕、、佐藤昭夫と言います、、、今年で20歳になりました、、、どうかよろしくお願いします。」

名字どころか、年齢さえも偽る2人はただ名前のみ本名を使っている。
しかし、これまでの過酷な性の地獄を経験してきたためか、見ようによっては、
昭夫の容姿も自信の様なものが感じられぬ訳でもなく、20歳と正面切って言われれば
なんとなく納得する気もする。

だが、真由美は、本来は高校生の子供を2人も持つ35歳の主婦なのだ。
しかし、以前から、ごく自然に娘の佐和子と姉妹にしばしば間違われる程の
若々しい美貌を誇っている真由美は、今や絶倫の昭夫の精をまさに一日中、
全身に注がれてきた為であろうか、素肌の張り艶や黒髪の輝きも含め、
25歳と言われても、何ら違和感の無い程の若々しさであった。

すると、そんな校長の説明や2人の挨拶に、何かただならぬものを感じた若い女性職員が、
思わず単刀直入な質問をしてしまう。
「、、、、あ、、の、、すみません、、、し、失礼かもしれないですけど、、、お2人の関係って、、、、」
だが、まさにそれこそが聞いて欲しかった内容であったであろう校長は、
しかし、そこであえて回答もしくは設定(?)等を明らかにせず、意味深な笑みと共にはぐらかした。

「、、あらあら、ほんとうに失礼な質問ね、、、そぉねぇ、、、、うふふふ、
 私からはノーコメントですわ、、ねぇ、お2人さん。」
失礼な質問である。とたしなめながらも満面の笑みで応じる校長に視線を向けられた真由美、そして昭夫。
すると、当の2人は互いに顔を真っ赤に染めながらも、そっと寄り添いながら、
キュッとばかりに互いの手を握り、なんと指先を絡め合うではないか。
そして、なんとそっと瞳を閉じた真由美がやや顔を傍らに向けると、く自然にその美女へ軽くキスをする昭夫。

それはほんの瞬間の事であるが、瞳を開いた後もまた、指を絡めたまま、
昭夫の隣に立つ真由美のその姿は、まさにその魂までもがピッタリと寄り添う恋人同士以外の
何者でもなかった。

命じておきながら、その予想以上の倒錯母子カップル振りは、校長ですら
一瞬唖然とするほどのものであり。
ましてや、それを知りようもない他の教職員達は、その一瞬の静寂の後、騒然となってしまう。

だが、それを遮る校長の言葉に、今度は一同の視線は真佐美へと向かう事となる。
「あらあら、若いって良いわねぇ、、でも、ちょっとは自重していただかないと、、ねぇ、、理事長先生。」
そして、そんな部屋中の視線が集まってしまう真佐美は、まさに針のムシロの上の気分である。

いったい何と言えば良いのだ、、、その2人は血の繋がった実の母子であり、それも自分の娘であると、、、、

言える訳がない、、、人前で口づけを交わし合う2人が母子であるなど、そんな事、
まさに口が裂けても言える筈がなかった。

そして、まさに返答に窮し、口ごもるしかない真佐美に向け、偏向極まりない示唆をする女史。

「うふふふ、でも、、校内の不純異性交遊にも寛大な処置をする理事長先生ですから、宜しいのかもしれませんわね。」

そんな皮肉を聞かされて、屈辱に歪む真佐美の心。
だが、もはや寄り添う2人のカップルを前に、いったい何が言えるのであろうか。

「、、、、そ、、そぅ、、ね、、なるべく、、、学園では、、、自重して、下さいね、、、、」
それが、公認カップルへと堕ちてしまった娘へと述べた、母親としての真佐美の言葉であったのだ。


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