2-12


そして、奇妙な自宅待機の日々が始まる真佐美。
だが、校長から命じられた、そんな自宅待機も、もしも完全な孤独であったならば、いかに気丈な真佐美と言えど、
果たして堪えられたかどうかは、判らない。

しかし、そんな心細い真佐美の心情を慰める(?)かの如く、連日、いわゆる放課後の時間に訪れる
アキ子がいたのである。

お腹の子を案じ、やはり生フェラでの性欲解消だけしか互いに相手を出来ぬ身ではあるが、そんな倒錯じみた
交わりも、この異常な状況に慣らされてしまっているアキ子、そして真佐美も次第に馴染んでしまう。

そんな日々が続くのだが、やがてすっかり安定期に入り、アラフィフ未亡人が立派な(?)ボテ腹にもなる頃、
さすがに学園を案じる真佐美である。

もちろん、訪れるアキ子に、再三学園の様子は尋ねている、だが何度聞いても、ただ、平気、大丈夫です、、
とだけの返事しか言ってはくれない。
そして、前回、最後に学園で起きたあの集会の事を思い出すだけで、情けない事に怖くてそれ以上聞けぬ
真佐美なのだ。

それほどに、あのまさに全身に刺さる矢の様なトゲトゲしい雰囲気は、真佐美を萎縮させてしまっていたのだ。

だが、、、、、真佐美は、遂に、意を決し、学園へと出掛けてしまう。

帽子を目深に被り、サングラスまでかけ、こっけいな程、変装ですと言わんばかりのスタイルで
真佐美が学園を訪れ、こっそりと様子を伺うがそこで見たものは、、、、、、、、

『、、?、、??、、お、おかしい、、おかしいわ、、いったい、、なんで、、どうなっているの、』
そう、平日朝、普段通りに学園へと向かう生徒達、だがそれはほんの十数人位しか登校しないではないか、、、
いつもであれば、まさに数え切れぬ程大勢の生徒達が、若さを輝かせ、友人たちとの語らいに瞳を輝かせながら
学園へ向かっているのに、、、、、

それが、ほんとうにまばらに人数、それもこう言ってはなんだが、どこか陰気な雰囲気の生徒達が無言のまま
ただ黙々と学園を目指しているだけなのだ。

そのあまりの、まさに目を疑うかの様な光景に呆然と立ちす竦む真佐美。
すると、なんと、そんな真佐美の背後から白々しくあいさつする人影があった。
「あら、理事長先生、お久しぶりですね、、お腹のお子さんは順調ですか?」

そう、声を掛けられ、つい振り向いた真佐美は思わず絶句してしまう。
そう、あまりに自然に自分に向かって声を掛けてきた相手は、なんと自分をこんな煉獄の立場へと堕としめた
張本人、学園の女校長その人ではないか。

その校長自身の厳命で、自宅待機を命じられていた自分が、それに反して、こんなところにいてしまった。
そして、なによりもそれを見られてしまった、、、、

かつての自分の部下でありながら、今や、自分のあらゆることをその管理下に置いている、校長の逆鱗の
恐ろしさを痛い程に知り尽くしている真佐美は、もはや顔面蒼白となって、ただひたすら、だがしどろもどろと
弁解するしかなかった。

「!?!?、!!、ヒッ!、、あ、、あの、、、、こ、れは、、、学園が、、その、、あの、、」
だが、意外な事に、真佐美を見つめる校長は、とりあえず外見は温厚そうに取り繕ったまま優しく真佐美に
語りかけた。

「うふふ、そんな大きなお腹では、立ち話もお辛いでしょう、どうぞ、中でお話致しますわ、色々とね、、」
そう意味深な、そして不気味な笑みを浮かべながら、身重の真佐美をその発言に反して、全くと意って良い程に
気遣うそぶりすら見せず、クルリと向きを代え、スタスタと学園へ向かう校長。

このまま逃げ出したいのは山々であるが、自分が、いや自分だけではない、亡夫がその人生を掛けて設立した
学園に、何が起きたのかを知らぬまま、帰宅することなど、やはり真佐美は出来なかった。

そして、久々に訪れた学園内、その中では、真っすぐに理事長室へと向かう2人であったが、そこでも更に
真佐美を愕然とさせてしまう事があった。
まずは、それ違う教職員も数える程しかいない。
なによりも、あの明るかった学園内部が、不気味なほどに暗い雰囲気なのである、、、、、
そう細かい事であれば、掃除された跡などが、ここ何週間は全くされた形跡すらかけらも無い。
照明すら所々切れたままであり、なんと割れた窓カラスすら、放置されているのだ。

まさに、見様によっては廃校にしか見えぬ程の荒れ果て様に、真佐美の心は、今にも泣き出したい心境である。
だが、案内され、久々に訪れた理事長室では、まさに信じられぬ事が真佐美に告げられたのであった。

「こ、これは、、これは、いったいどういう事なの、、生徒たちは、、先生方は、、、校舎は、、、」
あまりの学園の荒れ果て具合に、まさに食ってかからんばかりの勢いで校長を詰問する真佐美。

だが、そんな真佐美の激高振りも全く意に介さず、トンでもない事を口にする校長。
「あぁ、それが、ですねぇ、ホント、説明しずらいんですけど、、もぉ、アレ以来、生徒、教職員を問わず、
 概ね、校内の全ての人から、自主退学、転校希望者、辞職、転任希望者が続出、なんですよ。」

あまりにサラリとトンでもない事を言ってのけた校長に、しばしその意味が判らず呆然とした真佐美だったが、
それを理解すると、まさに悲鳴の様な言葉を上げずにはいられなかった。
「、、、、、、?、、、、!?!?、、、、、な、、、なんですってっ!?」

だが、そんな愕然とする真佐美を他所に、いや、むしろ、その美貌に浮かぶ驚愕の表情を楽しむかの如く、
更にトンでもない事を言い始める校長。
「このままでは無人で廃校に、と覚悟もしたのですけど、、うふふ、まさに『捨てる神あれば拾う神』ですわ。
 お喜び下さい、先日、**学園との提携が決まりました。また、来月からは大勢の生徒たちで校内は
 溢れる事になりますわよ。」

「!?!?、、なんですってっ!!」
突然に知らされた学園の他校との提携、それも聞かされた相手校の名前は、それは地域で知らぬ者など無い程の
いわゆる最底辺の学校であったのだ。

驚愕のあまり、身重の身体でありながら、座っていたソファから立ち上がった真佐美は、まさに全身の血液が
逆流せんばかりの怒り、はらわたが煮えくり返らんばかりの怒りで激高し、校長へと食ってかからずには
いられなかった。

「そ、それは、、それは、いったい、どう言うことなのっ!?、廃校寸前って、、提携って、、**学園って」
まさに怒りのあまり、思考が纏まらぬ真佐美は、思いのたけを一気に校長へとブチまける。

しかし、そんな真佐美の激高など、全く気にする風も無い校長は、むしろその体調を気遣う余裕すら見せる。
「あらあら、あんまり興奮すると、お腹のお子様にさわりますわよ、、身重の理事長先生、うふふふ、、」
そして、そんな不気味な笑いと共に、妖しい光りを浮かべて自分を見つめる校長の瞳の冷たさに、気付いた
真佐美は、なにかとてつもないイヤな予感に襲われ、思わず怒りも忘れて、立ちすくんでしまう。

そして、そうしてまさに無言の威圧で、真佐美の反抗を封じた校長は、更にトンでもない事を口にする。
「うふ、それに、この程度のコトで驚かれては困りますわ、理事長先生、理事長先生には提携した**学園の
 生徒や教職員の皆様の性奴隷となって、日夜、アッチのお相手をして戴かなくてはなりませんから。」

とても、それが、卑しくも名門校の校長の口にする言葉であろうか、、、、、
『皆様の性奴隷』となって、、、、、
同じ女性の口にする言葉とは、とても信じられぬ真佐美であるが、ここまでの苛酷な経験で、その『性奴隷』
なるものが、いかなる立場を意味するか位は、容易に想像出来る。

だが、、、、仮にその**学園との提携が成立したとして、なんで自分が見も知らぬ相手の『性奴隷』にまで
堕ちねばならぬのだ。

「バ、バカにしないでちょうだいっ!!、な、なんで、、なんで私が、そんな『性奴隷』になんか、、」
「あらぁぁっ、、ひょっとしてぇ、、ご不満かしらぁ、、理事長先生はぁ、、、」
「あ、当たり前、」「あんなお相手とですらお子様を作ってしまった変態理事長に相応しいと思うんですけど」
まさに激高する真佐美であるが、それを頭から小バカにして言い続ける校長。
そして、そんな真佐美の恋人(?)の意味深な表現に、思わず口ごもってしまう真佐美。

すると、そんな真佐美の突然の沈黙に、さも楽しげに言葉を続ける校長。
「うふふ、、理事長先生のお腹の赤ちゃんのパパ、、、いったい、誰なのかしらねぇ、、うふふふふ、、」
「、、、、な、なによ、、今更、、アキ子さん、、うぅん、ホントは男の子なのに、、あんな格好の、、
 今更、そんな事くらい、、平気よ、どんな相手でも、この子は私の子供よ、、立派に産んでみせるわっ。」
とばかりに、まさに『母は強し』を地で行く真佐美の気丈夫さに、芝居じみた仕草で大きく感心するそぶりを
見せた校長は、傍らの控え室のドアに向け、大きく呼びかけた。

「アキ子さぁ〜〜んっ、、出番よぉ、、、理事長先生に、あなたの正体、教えて差し上げてぇっ!!」
すると、カチャリとばかりにそのドアが開き、中から現れたのは、その華奢な姿も愛らしい
美少女女子高生(?)アキ子、その人であった。

そして、弱々しく歩みを進めるアキ子は、やがて真佐美の座るソファの間近に近づくと、もはや固定の
衣装の様であった、大きなサングラスとマスクをゆっくりと取り外す、、、、、、
そう、、思えば、日の光の下、初めて目にするアキ子の素顔であったのだ、、、、、

そして、その可憐な唇を開き、ゆっくりと発言したその言葉は、、、、、
「真佐美ママ、、、、ごめんなさい、、僕、アキ子じゃないんです、、昭夫なんです、、、、」


沈黙の支配する理事長室、、、、、、、
そのあまりの突然な、美少女(?)のカミングアウトに、声もない真佐美、そして、アキ子、いや昭夫。
そして、それをこれ以上に面白い見世物は、そうは無い、とばかりに固唾を飲んで見物し続ける校長。
「、、、、えっ、、、、、な、、、な、に、、、、何、、、、」

まるで出来の悪いデク人形の如き、ぎこちなさで、傍らの美少女(?)へと向き直る真佐美。
すると、その美少女(?)は、これまで使っていた演技の上での女声をやめ、地声で再び発言する。
「、、、ごめんなさい、、騙して、、いて、、、本当に、、ごめんなさい、、、、アキ子は、昭夫なんです。」
『こうしなければ、、お母様が、、お姉様が、、、』
そんな弁解を昭夫は話し続けていたようではあるのだが、、、、、、、、

アキ子さんは、、、、昭夫、、自分の娘、真由美の子供、昭夫だった、、、、、、
衝撃の事実も、あまりにその度合いが強過ぎると、現実味すら薄れるのであろうか、、、、

当初、聞かされたあまりの衝撃的なその事実に、ボンヤリと硬直したままの真佐美であったのだが、、、、
ドンッ!!
と突然に、自分の胎内での胎動を感じてしまう真佐美は、それの示す恐るべき事実を認識せざるを得なかった。
そう、、、まるで、自分の父親の正体を知らされ、喜ぶかの様に、胎動をしているその子供は、、、、

そして、まるで、そんな胎内の動きが判るかの様に、冷徹な宣告をする校長。
「そぉよ、今、あなたのお腹にいる赤ちゃん『ソレ』は実の祖母と孫の間で妊娠された呪われた子供なのよ。」
「『そんなの』も母子相姦妊娠って言うのかしらね、、、まぁ、とにかく許されぬ子供、罪の子供ねぇ、、、」

だが、そんな、残酷極まりない校長の宣告すら、どこか遠くで告げている様にしか聞こえない真佐美。
ゆっくりと自らの下腹部、いわゆるボテ腹に両手を宛てがう、、、、、、、
つい、ほんの少し前まで、『ソレ』は自分の幸せの象徴であった、、、、
『この子』がいれば、、、『この子』さえいれば、、と思っていたのだが、、、、
その子供は、、、自分と、血の繋がった孫の昭夫との間に出来た子供だったのだ、、、、

どこか遠くで悲鳴が聞こえている、、、、、、
そして、それが誰あろう、自分の口から出ている、まさに血の叫びであるとボンヤリと思う真佐美の意識は、
やがて、深い暗闇に包まれて行くのであった、、、、、


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