2-09
こんな筈では無かった、、、、、こんな事になるとは思わなかった、、、、、、
自宅のマンションで豪華なソファにもたれかけながら、呆然と呟き続ける真佐美。
遂に、先日、自分の懐妊、そしてその真相(?)を全校に説明したのだが、、、、、、
それが、予想だにしないほどの大混乱となってしまったのだ、、、、、
校長に抱き抱えられるかの様に講堂内から連れ出され、理事長室へと退避させられた真佐美。
そして、事態の急変にただ、呆然とするしかない真佐美であったが、自分の城である理事長室に戻され、
周囲の喧噪から切り離されて、やっと事態が飲み込み始める。
『聞いて居た事と違うじゃなぃっ!!、は、話が、、話が違うわっ!!』
と、まさに激高し、校長に食ってかかろうとしたその寸前、、、、、、
『申し訳ありません、、、、私が、、私が、やはり、間違っていた様でしたわ、皆さんも、驚いたでしょう。』
真佐美の言葉を封じるかの様に、先手を打って叫ぶ様に言う校長。
その言葉の『皆さん』に気付いた真佐美が、思わず周囲を見回すと、なんとそこには校長以外、各学年主任やら
事務方の上席のものが何人も居るではないか。
如何に混乱していても、これほど大勢の前で、『話が違う』とは口には出来なかった、、、、
それは言うなれば『自分がそれを予想出来なかった』とも取れる訳であり、それを彼らの前で口にする事は、
理事長として、経営者として、、、、まさに『失格』と取られ兼ねない発言ではないか。
なにより、、、、、それだけは、真佐美の『矜持』(?)が許さなかったのだ、、、、、、
しかし、まさにそれこそが校長の付け目であったのであろう。
悔しげに校長を見る事しか出来ぬ真佐美を他所に、ぺらぺらと周囲を宥め、テキパキと対処して行く校長。
『とにかく、皆さんには私が説明致しますわ、なによりも理事長先生は『お身体』を大事になさって下さい。』
その言葉に、思わず自分の腹部へと両手を宛てがってしまう真佐美。
だが、そんな真佐美の『母』を露わにした行為に、一瞬にして部屋の空気がまた代わってしまったのだ。
周囲に生徒がいない気安さ(?)か、露骨に興味の視線を向ける者、目を逸らすどころか顔さえ背ける者、
あからさまに顔を顰める者、、、、
それは、もはやどう好意的に解釈しようが、『歓迎』の雰囲気では無かった、、、、、、
『誰か、えっと、では**先生と**さん、お車お願い出来ますか、さっ、理事長先生。お身体を、ねっ。』
と周囲に指示を出し、更に意味深な台詞さえ最後に付け加える余裕さえ見せる校長。
そうなのだ、、、、今や、、自分は、自分一人だけの身体ではないのだ、、、、、、
刻一刻と悪化(?)する理事長室、、かつての自分の城の中の雰囲気にいたたまれず、ただ、促されるまま、
部屋の外へと出てしまう真佐美。
指名された2名の教員と事務方の女性が付き添ってはいるものの、やはりどこか余所余所しい態度は隠せない。
そして、その両名により車で自宅まで送られた真佐美であるものの、、、、、、
「、、あ、ありが、、、、、」
あまりにも、硬い、、どころか重たい雰囲気の車内に会話も侭ならなかった真佐美が、下車した後に振り返り
礼を述べ様としたその矢先、、、、
「理事長先生、、、、わたし、、、失望しました、、、、」
その言葉が小さく、付き添ってくれた若い教師の口から零れるのを聞いた真佐美は、ただ愕然とするしか
なかったのだが、その言葉に隠れるかの様に、運転してくれた、更に若い女子事務員が小さく、だが、確実に、
間違いなく、真佐美に聞こえる様に呟いた台詞、、、
「、、、、、変態ババァ、、サイッテェーー、、、」
とまさに吐き捨てるかの様に呟いたその言葉を聞き、、、自分がそれこそ取り返しの付かぬ事をしてしまった。
とやっと実感出来た真佐美であった。
そして、もはや完全な虚脱状態となりながらも、なんとか自宅にたどり着き、よろよろとソファーへと
座り込んだ真佐美。
すると、まるでそんなタイミングを図ったかの様に、携帯メールが受信したのである。
そして、それには、まさに木で鼻を括ったかの様にそっけない内容の文面があった。
曰く、
校内の混乱の沈静化の為、しばらくの間、自宅待機せよ。
などと言うのである。
こんな筈では無かった、、、、、こんな事になるとは思わなかった、、、、、、
自宅のマンションで豪華なソファにもたれかけながら、呆然と呟き続ける真佐美。
これが、いかに性奴隷の様な状況に堕とされているとはいえ、ほんの少し前までの真佐美であれば、従う訳も
無かったのであるが、あの先刻の全校集会の空気、雰囲気をまさに身を持って体験してしまった今では、
もはや、従うしか道は残されていない真佐美である。
そう、、、、それに、先程、校長が指摘した様に、、、、今の自分は自分一人の身体ではないのである、、、
今や、すっかりと大きくなってしまった自分の下腹部へそっと両手をあてがい、これ以上は無いと言うほどに
さも愛おしげに優しく撫でさする真佐美。
そうして、その大きな膨らみを撫でているうちに、次第に気持ちは落ち着いていくのを感じた真佐美は、
いつしか、ゆっくりと、だがはっきりと、その胎内の新しい小さな命へと語り始めていた。
「大丈夫よ、絶対、大丈夫、ママがあなたを守って上げるから、絶対に大丈夫、、、、」
しかし、それは、実際には、もはや、その自らの胎内の小さな命に縋る事でしか、理性を保てぬまでに
追い詰められてしまっている真佐美の精神状態を表している事に他ならない証拠であろう。
だが、、、その新たな命の正体を気付いた時、知らされた時、、、、、、
果たして真佐美の『心』は『正気』を保っていられるであろうか、、、、、、
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