7-2 終わりの始まり
『お客様、大変に申し訳ないのですが、本日御指名頂いた、、、、、、、、、、、』
「、、、あ、、、あら、そ、そうですの、、、、し、しかたありませんわね、、それでは、、、」
まさかにも思わなかった、少年からの二股と言う、屈辱極まりない現実を思い知らされてしまった真佐美。
だが、それを表立って荒立てる訳にもいかず、せいぜいが消極的無視をするくらいしか事実上は対抗策は無い。
せめて、気晴らしにでも、、っとエステの予約を取ろうとしたのだが、なんとこんな時に限って担当の
スタッフが突然の休暇でそれも出来ないとは、不幸な時には不運も重なるものである(?)。
仕方なく、憤懣やるかたない気持ちを持て余しながらも、帰宅するしかない真佐美であった。
そして、翌日からの始まる日常の日々、、、、、、、
いまや、すっかり元気を取り戻してしまった少年や少女の若々しく輝かしい笑顔や踊りだす寸前の躍動感に
満ち溢れた機敏な動きを校内で見る度に、まさに腸か煮え繰り返る程の憤怒の念が浮かぶ真佐美。
だが、いかに屈辱を受けていても、基本それは真佐美の友人、『マサミ』のことであり、まさかにも露骨に
少年や少女に当たり散らせる訳も無い。
楽しげに談笑し合う、若い恋人達の姿を、密かに悔しげに睨んだ真佐美は、今日こそはっとばかりに
エステへ連絡をするのだが、なぜだか今日も予約が取れぬと言うのである。
それであれば、おとなしく、以前に自分が会員であった(そこそこ)高級のエステやジムへ通えば良いの
であろうが、やはりそこは一度でも極上である最高級の持て成しを味わってしまった悲しさ(?)とでも
言うのであろうか、、、、、、、、、
どうしても、それに戻る事が出来ず、ただ悶々と空しさを募らせるしかない真佐美であった。
そしてそこが、正気(?)に戻り、平常で平穏な生活へと戻れる最後の機会であったのかもしれない、、、、、
だが、、、、、、、、、、、、
どうやら遅すぎた様である、、、、、、、、、
全てを忘れるには、あの少年が(初めて)与えてくれた『女の悦び』は強烈過ぎたのだ、、、、、
そして、それは、あの秘められた交わりで味わう『肉の悦び』だけではない。
おそらく、それにより齎されているであろう、心身の活性化、そして、それから得た若々しい身体への
周囲の女性達からの『嫉妬』を含んだ『羨望』の眼差しの印象等、、、、、、
そう、、もはや、それらは忘れられぬ程の甘美な優越感を真佐美に教えてしまっている、、
だが、現実は残酷である、、、、、、、、
少年との性交やエステ通いが断たれて数日、どうにも気が滅入って仕方の無い真佐美は、勤務の後、
あまり通わぬデパートのコスメコーナーに立ち寄り、気晴らしにでもと新たなメイクの相談をした時の事。
「お客様ですと、そうですわねぇ、、、例えばこの様なものでは、、、、、あっ!?、それでは、こちらに、」
と言いながら差し出したファンドや、提案されるサプリがどうにも自身のイメージに合わぬのである。
そして、そんな若干ではあるが怪訝な顔をしたのが判ったのか、慌ててそれを打ち消して真佐美の意見に
迎合してしまうのは、さすが百戦錬磨のマヌカンであろう。
だが、そんな彼女がチラリと自分の頬に視線を向けた事に気付いた真佐美は、思わず、改めてマジマジと
その鏡の中の自分に、そう、マヌカンが見た辺りを見つめるのだが、、、、、
『!?、、、!!!、、、、、!!!!!!、、ウ、、、ウ、ソ、、、、うそよ、、、そ、んな、、、、』
だが、、、、悲しいかな、、、、何度瞳をこらしても、目を瞬いても、、、、、、、それは粛然として
そこにあった、、、、、、
ほんの数日前までは、まさに遥かに年下の同性達からも賛美されていた真佐美の美肌、、、、、、、
だが、それは今やどう見ても、若干のくすみが見られ始め、、、、、、、
それどころか、シミにしか見えぬ箇所すらあるではないか、、、、、、、
更に、目許、、、特に目尻、、、、、瞼の下、、、、、もはや見間違い様も無い、、、、
明らかな小皺が出来ている、、、、、、
もちろん、真佐美の年齢を考慮すればそれは何ら不思議の無い、ごく自然な加齢現象であり、それらを
鑑みても、同年代の女性からすれば未だに、称賛の眼差しを向けられる事間違いのない位、若々しい
美肌である真佐美の素肌であるのだが、、、、、、
しかし、ほんの数日前までの自身を知っている真佐美にとり、『それ』を見つけてしまったショックは
図り知れぬ程に大きかったのである。
「、、あ、、、あの、、し、失礼しますね、、、、、」
あいさつもそこそこに、まさに逃げる様にしてコスメコーナーを出た真佐美は手近の洗面所に向かう。
そして、空いていた個室へ飛び込むと震える手で取り出した手鏡を恐る恐る覗き込むのだが、、、、、、
『、、、、あ、、ぁ、、、、あぁぁ、、、、、』
やはり見間違いのはずもなく、相も変わらず、それらは、、、、、『シミ』も『小皺』もそこに存在していた。
そう、、、、おそらく、少年との性交が中断されたことにより、体内に注がれる若さ溢れる男性ホルモンに
呼応するかの様に分泌していた真佐美の女性ホルモン、そしてそれによって引き起こされたアンチエイジング
現象(?)は当然、『それ』が中断されたが為に、一気に失われてしまったのだ、、、、
そして、、更にエステでのケアまでもが断たれた結果は、、、、、、
そう、、そんな反動でも吹き出すかの様に、まさに、あっと言う間に素肌が年相応のモノへとなっていくのは、
ある意味当然であったのかもしれない、、、、、
確かに、今朝など、化粧のノリは悪かった、、、、、
洗顔や入浴の際の水分の弾き方も、、、、、、
思い返せば、まさにいくらでも思い当たる事ばかりである、、、、、
もちろん、なによりそれが当然であり、数日前までの真佐美の『状態』こそが、異常であったのだが、、、、、
しかし、哀しいことに、『女』である事を目覚めさせられ、その身体に覚え込まされてしまった真佐美にとり、
それ、、、『老い』はもはや恐怖以外のなにものでもなかったのである。
『あぁぁ、、ど、、どうしよう、、、い、いった、、ぃ、、いったい、どうすれば、、、』
これまで培って来た事、つい先日まで生徒達に唱えて来た『内面の美しさ』『年相応の姿勢』など、最早
忘却の彼方へと忘れ去ってしまい、ただ『老い』に脅える熟女しか、そこにはいなかった、、、、、
そして、その混乱、狼狽の極みにある真佐美の心の透き間に付け込むかの如く、携帯に少年からのメールが
入ったのはそんな時であり、失われつつある『若さ』を取り戻す為ならば、もはやどのような事でも
するであろう位に追い詰められた真佐美が、安堵のため息を漏らしながら、少年からの誘いに載ってしまうのは
やはりどうしようもない事だった。
そして、、、破滅へまた一歩近づく真佐美であった、、、、、、、
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