2−3

『ふぅ、良かったわ、、やっぱり社長はちゃんと考えてくれてたのね、、、』
一人、浴室へ向かいながら安堵のため息を漏らす春美。
最初は単なる他人との疑似デートプレイでのニセ中学生であった筈が、なぜか○学生扱い、それも
実の息子である、薫まで巻き込む事態の展開に、なにやら不穏なモノさえ感じる春美であったが、
全ての変装を落とすべく手配してくれた社長の采配(?)の前に、自分の早とちりを反省さえしてしまう。

『戻ったら、ちゃんと謝らなきゃ、、、、、うふ、、それにしても、薫、驚くだろうなぁ、、、』
疑ってしまった社長への謝罪もあるが、やはり何より、再登場した自分に驚くであろう息子の薫を想像した
春美は、一人笑顔が浮かばずにはいられなかった。

地方巡業で暫く会えない筈の自分が、いきなり現れるだけでも驚くだろうに、なぜか母親は薫が、ある
女の子に夢中になっていたことを、しかも事細かに、まさに交わした会話の内容まで知り抜いているのだから。
『なんて言おうかなぁ、少しからかっちゃおうかしら、『薫はママよりその女の子が好きなのね』とか、、』

もちろん、春美とて如何に今、仲良し母子であったとしても、それが永遠にそのままである等とは思わない。
薫も成長し、ごく普通にいつか女性との付き合いを始めるであろう、、、、、、
そして、、、やはりいつか伴侶を得て、、、、、そして、、自分の元を去っていくのだ、、、、、
それが寂しく無いと言えば、それは明らかにウソとなる。
それどころか、それを想像しただけで、微かな胸の痛みすら感じずには居られぬ春美であるが、、、、、、

仕方無いではないか、、、、少年はいつか青年に、、大人になるのだから、、、、
そして、自分が愛された様に、伴侶となる少女と人生を共にしていくのだから、、、、
『うふ、いやだわ、、何、そんな遠い先の事まで心配してるのかしら、、そんなのまだ先よ、先、、、』
我ながら、あまりに先走り過ぎる自分の想像に苦笑しながら、浴室へ着いた春美は脱衣した後、風呂場へ入る。

そして、まずはこの髪の毛のカラーリングを戻すべく、シャワーを浴びたのだが、、、、、、
「、、あ、あら、、ヘンねぇ、、あ、あれ、、、え?、、あれ、、、、」
たしか、これを施したメイクの人は、簡単に温水シャワーで戻ると言っていたのだが、、、、、
少し時間が経過し過ぎて、やや戻りにくくなってしまったのであろうか、、、、、

それでは、、、と一計を案じた春美は、蒸しタオルを作り自分の髪の毛を結い上げるとそれを巻き付けてみる。
「少しこうして置けば、きっと大丈夫よね、、、じゃ、先にこのドーランを落として、、、、」
そう思い直し、洗顔ソープを使うのだが、、、、、、、、、
「、、、、、?、、、、??、、、、!?、、、!?!?、、、えっ?、、あ、あれっ?、、、、」
落ちない、、、、全く脱色する気配すら感じさせぬのだ、、、、、、
「、、そ、、、そんな、、、いったい、、いった、ぃ、、なに、、、なんで、、、、なんで落ちないの、、」

髪の毛のカラーリングどころか、素肌に塗ったドーランすら落ちぬ事に困惑し始めた春美であったが、
丁度良い(?)事に、なぜか社長の声が聞こえて来た。
「まだ、入ってるぅ?ごめんねぇ、私達も御風呂入りたくなっちゃったのぉ、入るわねぇ、、」

そう、、、、社長の紀子とは長い付き合いである、、、、
女同士と言う事もあり、こうして、この家に泊まる際、一緒に入浴する事も、実によくある事だ、、、、、
そうだ、、、、この中々落ちないメイクの事も紀子なら、何か知ってるかもしれない、、、、、

そう思い、入り口へ向き直そうとした春美の脳裏に、先程の紀子の言葉が蘇る。
『私達も、、、』
私達、、、今日、ここに居るのは自分、紀子、そして、、、、、、、
「ほぉらぁ、入りなさいって、、まだ子供なのに恥ずかしからないのっ!!」

そんな言葉と共に、入り口を向いた春美の視界に飛び込んできたのは全裸の紀子に、むりやり引っ張られる
小柄な男の子、、、、、、誰あろう、自分の一人息子、薫の姿であったのだ。
『えぇっ!?、ち、ちょっと、、まだ、、まだメイク落として無いし、、え、えぇ??????、、』

確かにまだ小学生の息子である薫とは、当たり前であるが、ごく普通に一緒に入浴をしてきた春美である。
まぁ、いくら小柄とは言え、さすがに五年生にもなった今では、すっかり母親と入浴するのを嫌がり、
最近はそんな機会も全くと言って良い程、無くなってしまってはいたが、、、、、、
そう言えば、この紀子の家の風呂場でも、薫が小さい頃、よく3人で入った事さえあったのだが、、、、

それでも、この状況はあまりに唐突過ぎる。
なによりも、自分は全くメイクを落として無いのだ。

だが、そんな事態の変化について行けず、呆然とする春美をよそに、薫を強引に浴室内へと引っ張り込んだ
紀子は、そのまま薫を浴槽へと押しやり、自らは洗い場の春美の横に陣取った。
そう、この紀子の家の浴室は、芸能プロの社長宅ともあり、ちゃんと大勢が同時に入浴出来る様な設備、
カランやらシャワーも複数備えて居るのである。

「さすがに3人並ぶとちょっと狭いからね、まずは私達女性陣が洗うから薫ちゃんはゆっくりと御風呂に
 入って居ること、、ちゃんと肩まで浸かるのよ、、、、うふ、100までは数えないでも良いけどね、、」
そんな、まさに母親の如き台詞まで言う位に上機嫌な紀子は、薫を浴槽へ入れると洗い場の春美の横に座る。

「、、あ、、あの、、紀子さん、、社長、い、、いったぃ、どう言うことなんですか、、なんで、、なんで、」
困惑の極みにいる春美は、背後の薫に気付かれぬ様、小声で紀子に質問するのだが、当の紀子は完璧に
それを無視して、それどころか、どこに持っていたのか、先程まで春美、こと、ルミが着用していた変装用の
黒縁メガネを取り出しながら、こう言うのだった。

「うふ、ルミちゃん、ダメじゃないの、メガネ忘れたら、、それじゃ良く見えないでしょ、、」
「それにしても、やっぱり若い子って良いわねぇ、お肌なんかピッチピチで、ホント羨ましいったらないわ。」
そこまでは薫にも聞こえる位の大きめの声で言う紀子であったが、チラリと春美の股間に目をやった後、
小声でこう付け加えてきた。

「でも、そこはさすがにボーボーね、ダメじゃないのエロロリのルミちゃんがそんなにお股のお毛々が
 ボーボーだなんて、、ほら、これでちゃっちゃとツルッツルに剃っちゃって。」
突然に、シェービングクリームと女性用シェーバーを春美の目の前に置いた紀子は、なんと春美に股間の
剃毛を命じたのである。

さすがにそこまで言われ、春美も我れに戻り言い返す。
もっとも、未だルミの変装は戻れず、背後から感じる息子、薫の視線の前に、どうしても小声での応答にしか
ならなかったのだが、、、
『紀子さん、、社長、いったい、どう言うおつもりなんですか、薫まで連れて来くるなんて、、』

しかし、そんな春美の問いかけに、無言で見返した紀子の表情が一変していたのに気付いた春美は思わず
言葉を失ってしまう。

そう、ふだんは気さくで所属タレントである春美達とも普通に冗談さえ言い合う仲なのだが、そこはやはり
この厳しい芸能界を10年以上に綿ってプロダクション社長の立場で率いてきた、いわばれっきとした女傑。
いざと言う時のその迫力の凄さは、春美如きの到底に適う相手では無いのである。

そして、絶句する春美を更に威圧でもするかの様に、グィッとばかりに再び、剃毛セットを春美に突き出す。
だが、、、、、、
『、、そ、そんな、、こんなトコで、、、そんな事、、、出来ない、、あぁ、、で、出来ないわ、、、』
さすがに、息子の目前での下半身の剃毛など、常識的に見ても出来るはずが無いではないか。

そう思い、ただ躊躇う事しか出来ぬ春美に、ついに業を煮やしたのか、更に小声で告げる紀子。
『さっさとしないと、あなたがさっきデートプレイでしてきた恥ずかしい事、薫にバラすし、なにより
 今、あなたが春美だって、言うわよ、、、ふふ、そんなエロロリプレイが母親の趣味だなんて薫が知ったら
 どう思うかしらね、、、、それだけじゃないわ、、、動画サイトも使って世界中にバラまいてやる。』

な、、、、何を、言っているの、、、社長、紀子さん、、、いったい、、、、いったぃ、、、、
あまりの紀子の態度の豹変に、呆然どころか愕然とせざるを得ない春美。
つい、ほんの少し前まで、ほほ笑みながら、自分たち母子のちょっと滑稽(?)なお芝居を見ていた社長
だった筈なのに、、

『ふぅ〜〜ん、、シないんだ、、じゃぁ、良いわ、、、』
その社長の冷たい言葉に、思わず我れに戻った春美。
そうなのだ、これまで、例えば契約を違えたタレント、相手事務所、そんな相手に必ずそれ相応のコトを
してきた紀子は、その際、必ず今と同じ様な口調、そしてその目付きをしてきたのである。

それらを思い出した春美は、まさに震え上がらんばかりになって、思わずその剃毛セットに手を伸ばす。
『わ、判りました、判りましたから、そんな、動画サイトにバラまくだなんて、、やめて、、やめて下さい。』

そんなコトをされたら、自分の芸能生活はいったいどうなってしまうのだ、、、、
とにかく、ここは恥を忍んで、一時は社長の言う通りにしよう、、その意図は判らぬが、おそらくそれで
社長の気が済めば、あらためてその意図を確認出来るだろう。

この期に及んでも、未だ社長への信頼を失わぬ春美は、背後の薫に気付かれぬ様、ゆっくりと下半身の剃毛を
し始める。
ヒンヤリとしたシェービングクリームをあそこに当てた際は、思わず悲鳴さえ漏らしかけたが、それも懸命に
堪えて、シェーバーを当てる。

元々そんなに恥毛の濃い方では無い春美が、そこを剃り終えるにはさほど時間はかからなかった。
そして、その間、そんな春美の行為を監視しながら、ちらちらと背後の湯船に浸かったままの薫も見ながら、
ゆっくりと身体を洗い続ける紀子の瞳は、これまでの決して短くは無い春美とのつきあいでも見せた事の無い
妖しい輝きを浮かべている。

『うふふ、やっと面白くなってきたわね、、、、これからよ、、春美、うぅん、ルミちゃん、薫ちゃん、、』



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