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突然にルミ、こと母である春美の手を握り走りだす薫。
「ボクが案内して上げるよ、社長さんのおウチってすっごい広いんだよっ!!」
それは、まさに母である春美、ことルミが思いもよらなかった積極的な行為であり、息子から手を握られた
その嬉しさもあって、思わず春美もまた、思わず自分ですら予想もしていなかった反応を示してしまう。

薫が勢いで握って来た自分の手のひらを、それと同じ位、いや、それ以上の強さで握り返してしまったのだ。
すると手のひらを握り返された薫は、おもわず相手の美少女(?)の顔を見直すのであるが、すると、その
美少女(?)は満面の笑み、、これまで薫が目にした事の無い程に愛らしい笑顔を浮かべてくれたではないか。

そして、そんな美少女(?)の笑みを間近で見てしまった薫は、まさに耳まで真っ赤に染めながら走りだす。
そんなあまりに初々しい一人息子の様子を確認してしまった春美は、この楽しいイベント(?)に自ら
積極的になり始めてしまう。

その真の意味にも気付かずに、、、、、、

やれ、リビングだ、キッチンだ、シアタールームだ、、、、、、
さすが、仮にも芸能プロダクションを経営するハイソなセレブである社長の豪邸は広かった。
もちろん、春美はそんな豪邸も薫同様に知り抜いてはいるので、今更部屋の配置などを知らされても、
別段どうと言う事は無い。

だが、いちいちまさに自分のものでもあるかの様に自慢げに説明する薫の様子、その仕草の全てが母である
春美から見れば、愛らしく、愛しく思えてしかたないのもまた事実であった。
そして、そんな薫の喜ぶ姿が見たくて、つい薫が期待する反応をしてしまう春美。
些か過剰な位に芝居染みた口調、仕草で感嘆の態度を示す春美。
『うっわぁ、、ひっろぉぉぃぃ、、素敵ぃぃ、、、』

そして、それを聞く度に薫の小さな胸はまさに、幸せ一杯に膨らんでいく。
とびきりの美少女(?)が、自分の説明に感嘆の声を上げ、その円らな瞳をキラキラと輝かせながら自分を
称賛の眼差しで見つめるてくれるのだ、、、、、

それは、例え少年であろうが、ある意味男の理想の状況ではないか、、、、

そして、そんな2人のカップル(?)の夢の様な一時も、階下から社長の一声で中断させられてしまう。
「ねぇ、、いつまで案内しているのぉ、そろそろ食事よぉ、いったんリビングに集合〜〜っ!!」
「あっ!?紀香さん、、じゃない、社長さんが呼んでる、、はぁぁーーーぃっ!!、今、行きまぁすっ!!」
礼儀正しく返事をした薫は、これまでと同じ様にルミの手を握ったまま階下へ向かって行く。

また、それを一緒に聞いたルミ、こと春美は、そろそろこの楽しいイベント(?)も終了かしら、、、
と思っていた。
おそらくは、一緒にリビングに入ってから、社長の合図で自分がウィッグやメガネを外し、このアニメ声から
地声に戻すことで、薫への『ドッキリ』のネタバレをするのであろう。

『うふふ、、かおる、、驚くだろぉなぁ、、、、どんな顔、、するかしら、、、、、』
その時の愛しい一人息子の驚きを想像した春美の胸は幸せな思いで一層大きく膨らんで行き、ややもすると
もう少し、この『ドッキリ』で薫をからかいたかった様な気すら起き始めていたのだ。

すると、まさにそんな春美の願望を読んでいたかの様な展開がリビングで待っていた。
入って来た2人に向け、社長が一着の衣装を見せながらこう言ったのである
「あぁ、やっと戻って来たわね、、ねぇねぇ、、ルミちゃん、、ちょっとお願いがあるの、、、
 ちょっとで良いから、、この服、、着てみせてくれないかしら?」

だが、その衣装は、確かにルミの設定(?)である1*歳の○学生であれば、全く何の問題も無いであろう
まさに可愛いを全面に押し出してる、ピンクと黄色を基調にあしらったいわゆる超ミニのキャミワンピなのだ。

しかし、いかな芝居とは言え、30歳になる春美がそんな恥ずかしい衣装など着れる筈が無いではないか。
『!?、、ち、、ちょっと、、しゃ、社長、、そ、れは、、さすがに、、ムリが、あるのでは、、、』
と、それを見せられた春美は内心かなり引いていたのだが、あいにくそれは春美一人だけであった様である。

「ねぇ、薫ちゃん、、どぉ?これ、ルミちゃんが着たら可愛いと思わないかしら?」
そして、それを聞かされた春美がイヤな予感と共にその言われた相手を見直すと、、、、、、
『、、あぁ、もぉ、、薫ったら、、、なんて顔をするのよ、、、、、そんな、、そんな目で見られたら、、、』
そう、、そこには、まさに母譲りの黒目勝ちな大きな瞳を期待にキラキラ輝かせながら、こちらを見つめる
薫がいたのである。

そして、そんな胸一杯の期待を素直に言葉にしてぶつける薫。
「うんつ!!、スッゴイ可愛いよ、絶対に似合う、ねぇ、着てみせてよ、絶対に可愛いと思うよ、ねぇっ」
小学生らしい素直さで、全身を使ってその期待を露わにする薫の愛らしさに、思わず同意してしまう春美。
「うぅーーーんん、、どうしようかなぁ、、、じゃぁ、、少しだけだからね、、、、」

そう言いながらも、つい社長からその恥ずかしい衣装を受け取り、着替えの為にリビングを出る春美だったが、
息子である薫の連呼した『可愛い』の単語に、満更でもない表情を浮かべていたのは、やはり哀しい(?)
女の性の様なもののせいであろうか、、、、、

数分後、、、、、、
「、、、、ど、、、どうかな、、、、へ、、、変じゃ、、ないか、、な?、、、、」
そう、消え入りそうな声と共にリビングへ戻ったルミ、こと春美であったが、その美貌は羞恥のあまりに
耳まで真っ赤に染まっている。

それも当然であろう、前述の様に、平素は和服での佇まいが基本である30にもなる美女が、変装させられ
如何に小柄童顔とは言え、二の腕どころか肩まで露わになっているだけでなく、太ももまで付け根近くが
剥き出しにされた超ミニのキャミワンピを着せられて、あろうことか息子の目の前に現れねばならぬのだから。

当然のごとく、如何に小柄童顔とはいえ、春美は立派(?)な経産婦であり、それなりに、、どころか
人よりもやや豊かな胸元を持ち、太ももなどどう見ても、10代少女の華奢な両脚とは似ても似つかぬ
ムッチリと量感溢れた立派な太ももが剥き出しなのである。

『あぁぁ、、は、恥ずかしいわ、、やっぱり、ヘンよ、どう考えてもヘンだわ、こ、こんな格好、、、』
羞恥の極みと言うべき思いを痛感しながら、春美は自身の浅はかな行動を今更ながら悔やんでいた。

だが、そんな春美の内心も知らず、からかう様な社長の言葉が室内に響く。
「あら、とっても可愛いわぁっ、やっぱり着てもらって正解ねっ、ねぇ、そう思わない薫ちゃん?、んっ?」
しかし、そう振った少年が無言でいたのに気付いた社長が傍らに目をやると、なんと薫もまた、目の前に
現れた露出過多な美少女(?)に真っ赤になりながら、夢中でガン見していたのだった。

そして、それに気付いた春美は、まさに先程以上、失神せんばかりの恥辱に襲われたのは言うまでもない。
『あぁ、か、かおる、、そ、そんな目で、見ないで、、ママなの、、ルミじゃない、あなたのママなのよ、、』
もはや、限界である、、、、
羞恥を堪えかね、無言のままリビングから走り出ようとした春美であったが、それを制するかの様に
社長が言葉を発する。

「じゃ、ルミちゃんも着替え終わったし食事にしましょ、もう準備出来てるの、さっ、テーブルへどうぞ。」
と言いながら、傍らの薫の手を掴むと、ヅンヅンとリビング奥のダイニングへと向かってしまったのだ。
「!?、、、あ、、、あの、、、、」
そして、ポツンと取り残される形となってしまった春美が、迷いながらもついそれに同調し、同じく
食卓へと向かってしまったのは、やはりこの期に及んでもまだ、いささかも社長に対する信頼が揺るがない
証拠であったのだろう。

しかし、その食事もまた春美にとっては恥辱の連続であった。
テーブルに向かい合わせで座らされた春美と薫であったが、折りにつけ社長が春美にテーブルの中央にある
調味料やら水差しやらを春美に取らせるのだ。

小柄な身体の春美が大きな食卓の中央にある物の手を伸ばすためにはどうしても身を乗り出さずには出来ない。
そして、今、春美は小学生が着る様なキャミワンピを着ているだが、そんな格好でそんなポーズを取れば、、、

タプンッ、、プルンッ、、との擬音が聞こえそうな程に、大きく開いたキャミワンピの胸元から、豊か過ぎる
双乳が丸見えとなってしまい、それは当然、正面に座った薫に対し、まさに見せつけんばかりのポーズなのだ。

もはや、春美は自分が何を食べているかすらよく判らない程の混乱の極みにいた。
始めは中学生レベル(?)程度の疑似デートの筈だったのが、今や○学生の如き扱いでそれに相応しい
キャミワンピを着せられ、それとは気付かぬ息子からは熱の籠もった視線を向けられている。

しかし、そんな恥辱の食卓も、やっと終焉(?)を向かえる様であった。
「!?、キャッ!!」「あっ!?、ごめんなさい、、」
社長が春美の背後に回った際、なぜだか手元の皿からソースを春美の肩に垂らしてしまったのである。
「あぁん、ホント、ごめんなさい、、、染みになっちゃうわ、、そうね、食事も終わる様だし、、丁度良いわ、
 ルミちゃん、シャワーでも浴びて、全部キレイに落として来たら?」

そう、言いながら意味深な目配せをルミ、こと春美にする社長。
恥辱のあまり、回転の鈍った春美もようやくにその意図に気付く。
『、、!?、、、!!、、あっ、、そう言うことですか、、、はぃ、社長、判りました。』
それを、このまま、浴場へ向かいヘアカラーやらドーランやらを全て落として、春美として再登場せよ。と
解釈した春美は、やはり社長、ちゃんと考えているのね、、と安易に感嘆して退席し、浴室へと向かって行く。

そこで全てが終わることも知らず、、、、、、


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