進路03

ルミ子、こと佳代夫人の抗いを陰湿な嘲笑と共にに封じ込めた校長は、狡猾そうな笑みを浮かべて語り出す。

「理事長がかおるくんと会いたい。と言ったのは、実はとても有意義な提案をしたいそうなのだよ。」
「つまり、かおるくんが来春、学園を卒業したら事務員として、採用しても良い。と言ってくれているんだ。」
遂に明かされた校長の本心を聞かされ、ひたすら自身の恥辱を嘲笑され、ただ恥じ入っていたルミ子、こと
佳代夫人の美貌がまさに見る間に蒼白となっていくのを、まるで楽しんでいるかの様に見つめ続ける校長。

だが、一瞬の空白の後、その意味、その真意に気付いたのは、哀しいかなやはり奴隷、それも性奴隷としての
生活のせいであったのだろう。
『、、そ、、そんな、、、採用って、、、かおるを、、事務員にって、、、それって、、それって、、』
今更『事務員』などと言われて信じる事など、いかな世間知らずな佳代夫人であっても出来る筈もない。

そう、、、、、これは、、、『採用』の名を借りた、体の良い『奴隷の割譲』以外の何物でもないのだ。
先日、自分の身体を嬲り物にし、散々に犯し抜いた『理事長』なる人物を思い出し、大切な一人息子である
かおるが、そんな男がトップを勤めるところへ『採用』されるなど、、、、、、、
まさに、『獣の群』に『獲物』を投げ入れる以外の何物でも無いではないか。

そう気付いた佳代夫人は、一瞬愕然としたものの、まさに心底震え上がって校長室の床上に平伏しながら
必死になって、その『奴隷の割譲』ではない、『採用』を思い直す様に哀願し始める。
「そ、、そんな、、お、お願いでございます、そんな、そんな事、そんな『酷い』事、どうか、、どうか、、」
『お許し下さい、、、』
と言葉を続け様とした佳代夫人であったが、最早、校長の中で既にそれは既定事項となっている。

しかし、陰湿な本性を剥き出しにした校長は、その息子を思う母親の気持ちを、まさに逆撫でするかの様に、
ネチネチと言葉責めを続けて行くのだ。
「おいおぃ、『酷い』事とはなんだね、、、君ぃ、昨今の社会情勢を知らぬ訳ではあるまい、、、、」
「この空前の大不況の最中、『高卒』で『事務員』に『採用』だなんて、夢の様な好条件なんだがね、、」
「君も『アレ』ばかりせず、たまには新聞くらい読みたまえ、まぁ『女中』上がりの君には無理かな、、、、」

そんな仮にも教育者でもある、校長とは思えぬ職業を侮蔑する言葉に、仮の身分ではありながら、自分を
軽蔑されている佳代夫人は、一瞬、悔しげにその美貌を歪めるのだが、サラリと流された『高卒』の単語に
気付くと、思わずその言葉を問い質さざるを得なかった。

「『高卒』、、『高卒』って、、ど、どういう意味ですか、かおるは、、かおる坊ちゃまは、、、、」
優等生である自慢の一人息子の将来、それはごく普通に『進学』であると夢にも疑わぬ佳代夫人だったが、
それを言い出す前に、校長は意外な、、まぁ、だがごく冷静に考えれば当然であろう事実を突き付ける。

「おぃおぃ、ホント君は物知らずなんだなぁ、確かにかおるくん、以前は非常に優秀な生徒であったらしいが、
 最近の成績は、、、ちょっと『残念』な事になっていると聞いているよ、、、私は、、、、」 
それは、、、そうであろう、、、、昼間の学校では黒田達に嬲られ、放課後は特別授業と称し、横田達に
嬲られ、更には今の仮住まいである場所、女史のアパートへと帰れば、まさに一晩中女史に嬲られるのだ。

いったい、いつ勉強する暇があるというのだ、、、、、、ある筈がない、、、ある訳がないのだ、、、、、

そう、そのかおるの素晴らしい姿態は、クラスメイトの成績向上に立派に貢献し、事実、クラスの成績は
既に学年、いや学園内でも一目置かれる程のものとなっていたが、哀しいかなそれに反比例するかの様に
かおる自身の成績は、急降下の一途、ある意味、落ちこぼれクラスである『3−E』に相応しい物と
なってしまったのだ。

だが、、、、いったい、いったい誰のせいだと思っているのだ、、、学年でもトップクラスの成績を誇り、
品行方正な模範生徒であるかおるだったのに、、、、自慢の息子だったのに、、、、、

それを、散々嬲り物にした一味でありながら、『残念』な成績だなどと、いったいどの口で言えるのか、、、、
そんな戯れ言を聞かされた佳代夫人は、悔しさのあまりに、ギリギリと歯がみをしながら、まさに腸が
煮え繰り返る思いで一杯である。

しかし、ここで食ってかかって抗えば、まさに獣たちの思うつぼであることが、さずがに学習している
佳代夫人は、健気にも教育者としての校長の理性(?)に訴えるのだった。
「そ、それは、、今はちょっと、、お勉強が、、でも、でも、かおる坊ちゃまはお勉強さえ出来れば、、
 ですから、、お勉強出来る様に、もう、少し、その、、環境を、、、少しで、良いので、、、」

そう、、、せめて、授業中、あるいは帰宅後、、いや、、せめて放課後だけでも、勉強に集中出来る環境を
整えてくれれば、、、、いくらなんでも、まさに四六時中、獣たちから責められ続けはあんまりではないか。
、、、、、大切な一人息子の処遇でさえ、それほどに譲歩してしまう考え方しか出来ぬ程に奴隷根性が
その身に刻み込まれてしまった佳代夫人であるが、哀しいかなもはやそれは自分ですら気が付かぬ様である。

そして、その様に、本人すら気付かぬ内に、後ろ向きな思考をし始めている佳代夫人に向け、
大切な一人息子の進路を盾にした、陰湿極まりない校長の責めは更に激しさを増すのだった、、、、


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