タイトル[女優という名の・・・ 後編]

 いよいよ定例公演の日となった。
この日までがんばって練習した成果を見せる時が来た。
「がんばっていきましょう!」「オー!」

菊代の号令で一同団結し、幕が開くときが来た。
会場はペット達が出演する事が評判となって満員御礼となっていた。
一番前のいい席には黒志会、横田が座った。その後ろの席には用務員トリオ。
君島はポップコーンをほおばりながら芝居が始まるのを待っていた。

横田が後ろを見て舌打ちをする。
「おい、映画じゃないんだから食うのはよせよ。」
ブザーが鳴り開演の幕が開いた。

町の門に寂しそうにうずくまるかおるだ。
かつての美少年は女性化しさらに男性を演じる事によってその中性的な美しさがにじみ出ているようだ。

かつての友人に無視され突き飛ばされ、うなだれる。その時杜子春は胸を寄せて四つんばいになる
「雌豹のポーズ」のようになった。
横田が呟く。「へぇ、そそる格好してるなぁ」
仙人鉄冠子に教えられ金の入った瓶を掘り当てる所では杜子春は四つんばいになり
その可愛い尻を左右にぷりぷりと振って瓶を取り出そうとした。

このとき布地は光を受けて透けて見えるがかおるは気にしていないようだった。
 舞台では宴会のシーンになった。ここでは景子と佳代夫人が踊子となって出てきた。
中国の宮廷衣装の二人は音楽に合わせてクネクネとしなをつくり、
杜子春を取り囲むように踊りだした。

腰を横に振らず縦に振って挑発するように悩ましげに踊る姿は息を呑む美しさと
股間を膨らます淫靡さが出ていた。
その美しさにぼうっとなった杜子春は周りの男たちに手足を磔のように抱え揚げられて
クルクルと回らされていた。

それはまだかおるが「男子」だった頃よく黒田達にいじめられていた頃を思い出させるものだった。
やがて舞台は杜子春が仙人に弟子入りし無言の行に入るシーンになった。
多くの災難が杜子春を襲う。かおるはじっと耐えている。
そのシーンを舞台の袖で佳代夫人は母の顔となって見つめていた。

『かおる、小さい頃恥かしがりやで初めての幼稚園のお遊戯会に出てこなかったあなたが
こんなに立派になって…ママはうれしいわ。』
しかし、佳代夫人に悪夢の瞬間が訪れようとしていた。

菊代が後から佳代を呼んだ
「ちょっと、ルミ子、大変なことになっちゃたのよ。来て。」
「どうしたのです?神田様。」
「実はさぁ母親役の子が急に熱を出しちゃって舞台に出られそうにないのよ。
ルミ子、代役で出てくれる?」
「え…?」
「着ぐるみを着て舞台に出るんだよ。解んない?台詞はないからさ。嫌とは言わせないよ!」

この醜女の指示には逆らえない。逆らったらなにをされるかは判っている。
「じゃあコレを着て」
渡された着ぐるみに着替えるため全裸となるルミ子。
「あ、そうそう着ぐるみを着る前にね…」
菊代がルミ子の背中を突き飛ばし無理やり四つんばいにさせる。
「馬には尻尾がいるわよね?フフフ 尻を高く揚げな。」

舞台では杜子春のかおるが閻魔大王に尋問を受けているところだった。
「お前はここをどこだと思うか?さぁ口を利いてみろ。聞かなければお前の両親を責めてやる。」
この時かおるはてっきり着ぐるみを着た演劇部員が来るものだと思っていた。

しかしやってきたのは母馬だけそれも自分の愛する母、佳代夫人!
かおるはあっと言いそうになったが、ぐっと堪えた。
しかもその着ぐるみは袖や裾が袋状になっていて手足が出ないようになっていた。
夫人の口はボールギャグを咥えていてそこから涎が何筋も出ていた。
夫人は肘と膝でにじるように這っているのでその巨乳がゆっさりと揺れた。

そして臀部には長い栗毛の馬の尻尾があったのだがその尻尾は夫人の菊門を深く貫くディルドにつながっていた。
観客達が叫ぶ「牝馬だ!」 
尋問のため鬼に鞭打たれる母を涙を堪えて歯を食いしばり見るかおるに初日に録音した母の声が流れる。
「心配しないで。私はどうなってもお前の幸せになれるのならこれほど結構な事はないのよ。
言いたくない事は黙っておいで。」

かおるは図書館で『杜子春』を読んでいたことを思い出した。
自分と状況がダブっている主人公に同情するのだが母親が拷問を受けるシーンなると
辛い気持ちと同時に被虐の官能がどうしても出てしまうのだ。
心は悲しんでいても股間は母を想い勃起していたのだ。

そして杜子春は思いのたけを込めて絶叫した。
「お母さん…!」 こうして芝居は終わった。

 芝居が終わりカーテンコールになると大きな拍手と歓声が出演者を包んだ。
そして三人が出てくると客席はスタンディングオベーションになった。
勿論観客の股間もスタンディングオベーションだ。芝居は成功に終わった。

そして打ち上げでは三人のペット達に全裸での宴会シーンや牝馬の格好をさせてみたりした。
この素敵なアイデアを持ってきた演劇部長渡辺と河本は横田達に新たな刺激を与えたこととなった。
「ホラ!グズ馬!走れ!」
「ヒ、ヒヒーン…あああ、お尻をぶって罰して下さいまし…ヒヒーン」
体をくねらせて三頭の牝馬はおそろいの着ぐるみを着てグラウンド場をひたすら這い回っていた。

[女優という名の・・・ 中編]

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