タイトル[進路指導]
今年もあとわずか、これまで3人の美女たちをさまざまな行事にかこつけて思う存分楽しんできた黒田は、
いつものように担任の横田先生に呼び出された。
おそらく春川家ですごす、お正月の件かなと思い軽い足取りで職員室に入った黒田を待っていたのは、
案に相違して眉間にしわを寄せた横田の顔であった。
「座れ。」
いつもに似ない横田の重い声で黒田は背筋が冷える思いでいる。
「なあ、黒田。お前とゆっくり話したいのはほかでもない。お前の進路の問題なんだ。」
「?」
「お前たちには感謝している。いい思いさせてもらってるし、俺の教頭昇進も決まった。だがお前はどうするんだ?」
「え?」
「かおるは就職が決まった。志賀は親父の会社に勤めるし、金井たちはそこに押し込んでもいいし、
現役だからどっかの大学に推薦で押し込むことができる。だがおまえは・・・。」
そのとき、黒田はようやく理解した。いや今まで避けていた現実を突きつけられたといったほうが正確であったろう。
そうなのだ。彼の家は医院である。医者でなくては後は継げない。さらに言えばそこに入ることは、
できのいい兄に一生頭を抑えられることを意味する。
大学は試験を受けても入る力なんかない。だが推薦を受けようにも彼は留年している身なのだ。
志賀の会社に入ることは今まで散々でかい顔をしてきた彼にとっては彼の自尊心を傷つけることになる。
とてもじゃないが承服できることではない。考えれば考えるほど黒田は息苦しくなってきた。
一体どうしたらいいんだろう?
「よく、考えておけよ。」
そういって立ち去る横田の声がひどく遠くに聞こえるような気がした。
その夜・・・。
景子のあえぎ声とパンパンという音が部屋にこだまする中、黒志会の他の面々はささやきあっている。
「今日の先輩、なんか激しくないか?」
「一味違いますね。」
黒田の腰はそれを無視するようにさらに強く早くなっていくのであった・・・。
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