タイトル[黎明学園始業式]


　４月、黎明学園では始業式が行われていた。
入学式は翌日からなので、２年生と３年生が出席していた。
黎明は英正に比べて生徒数は少ないが共学で、普通科以外に帰国子女のための国際学科や
技術者育成の情報通信科などの多彩な学科に恵まれていた。

「では新しく入られた校長、並びに教師、事務員の方々を紹介します。」
司会の女性教師が厳かに言うと木山校長が慇懃な態度でにこやかに挨拶した。
「初めまして。今年から校長になった木山です。
私は前は皆さんもよく知っている英正学園という『男子校』で教鞭をとっていました。
ここの生徒さんは色々な活動に取り組んでいるとのことで逆に私が教えてもらわないといけないですね…」

木山は話をしている間にも、目の前の女生徒を物色していた。
木山の少々長い挨拶が終わると次は新任教師と事務員の紹介と挨拶がある。
「では、新任の先生をご紹介します。中村先生、数学を担当されます。次に桃山先生、養護の先生です。」
木山は桃山をちらりと見た。

そこそこの美人だからペットにいいかなと思った。
教師の背負おう会が終わっていよいよ事務員の紹介だ。
「では事務員の方を紹介します。春川さんです。」
紹介された事務員が壇上に上がると男子生徒のどよめきが立った。
上品そうな美少女でスタイルもよく、物腰もよかったからである。

しかしその格好はその清楚な少女には大胆なものだった。
景子から貰った大きなスリットの入った赤いレザーのマイクロミニに
ローズピンクのブラジャーが透けて見える白いブラウスだったからである。

「お、おいスケスケじゃないのか？」「あ、パンツが見えるぞほら。」
「可愛いのに大胆だなぁ」などと言った男子の声と同時に、
「何あれ？変態の格好じゃないの！」
「学校にはふさわしくないワ！」
といった女性教師や女生徒の声もあがっていた。

皆の視線に耐えながらかおるはマイクを両手で握り挨拶をした。
「は、初めまして今日からここの事務員になる春川かおるです。宜しくお願いします。
わ、私は３月まではここにいらっしゃる木山校長と同じく英正学園に通ってました。
え、英正は『男子校』で生徒は皆男子ですけど、
私は３年生ごろから『女生徒』になりたくて許可を得て『女生徒』になりました…」

また生徒達からどよめきが起こった。
「ええっ？！あの人男なの?!」
「信じられない！」

さらにかおるの話は続く
「縁会ってここに就職したのですが、私はこういう格好が好きなので
校長先生にお願いをして許可を頂きました。
もっと皆さんと仲良くなりたいので事務所にもいらしてください。」

挨拶が終わったときのかおるの顔は上気していてその瞳も潤んでいた。
菊代が女子で入れるか男子で入れるか迷っていたが結局はそのまま
『女子の格好をした男子』で就職させたのだ。

そのほうが戸籍の変更などの面倒な手続きもないし、
菊代と同居するにも都合がいいし井川のように結婚しておけば一生束縛できるからだ。
深々と胸の谷間が見えるほどお辞儀をしたかおるを見ていた司会の女教師は慌ててこう話した。

「よ、世の中にはこういう人もいるのね…　
あ、後ここには今日お見えになってないのですが神田先生という講師の先生も
今年から皆さんを教えることになっています。先生も英正学園の教師だったのですが
視野を広げたいということで黎明学園でご指導してくださるということです。」

木山とかおるは目を合わせた。
『やっぱり来ると思ったよ。』
『お姉さまはボクが心配なのね。』
二人同時にため息が漏らした。

その後、しばらく事務所では生徒が代わる代わる来てはかおるの身体検査をしていた。
「すげー！オッパイとチン○が同時にあるぞ！」
「今度は全裸でお披露目してね。かおるちゃん」
ここでもかおるは『人気者』になりそうだ。



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