タイトル[ハロウィンナイト]


 黒志会のアジトから笑い声がしている。
「ぎゃははいいぞ!金井!そのガイコツかっこいいじゃん!」
「黒田さんもその悪魔いいですね。にあってますよ。」
皆、モンスターや悪魔も格好をして盛り上がったいたのだ。
ドラキュラの志賀が時計を見て「そろそろ12時だぞ。」と言った。

 今夜、この悪鬼どもはハロウィンの「トリックオアトリート」を春川邸にしようというのだ。
そのためにわざわざ母子と景子に「休暇」を与え、家にいさせるようにしむけ、
12時に押しかけて「ハロウィンパーティー」をやろうというのだ。

ハロウィンの風習を知らないペット達にみだらなトリック(いたずら)をしまくり、
スペシャルミルクと肉体のトリート(施し)をさせたあと、
アメリカからわざわざ取り寄せた本場のストリッパーのコスチュームを着せて
ペット達にトリックオアトリートをさせるのだ。
勿論このコスチュームもハロウィン仕様でカボチャやコウモリのシールブラと
割れ目も隠れないほど細いTバックショーツである。
 一同は春川邸につくと遠慮なく合鍵で入り込んだ。
「ハッピーハロウィーン!トリックオアトリート!おまえらーでてこーい!」

ずかずかと入り込むなり3人が寝ているであろう寝室に入り込んだ。
しかし、そこには誰もいなかった。他の部屋にも3人はいなかった。
4人は家中を探しがとうとう見つからなかった。
「まさか、逃げたのかな・・・?」
「そんなことはないだろう。そんな勇気があいつらにあるかい。」
携帯にも電話を入れたがつながらない。やがてカボチャの田島がトイレに行ってくるといってその場を離れた。

しばらくすると「ぎゃあああああああ!!!!」と田島の叫び声が聞こえた。
「どうした?!」
「お、お、おば、おばけぇ〜」
「バーカそんなのいるわけないだろう?!何かの見間違いだって」
「本当にいたんだ!そこに…!白いのが・・・」

黒田達はまさかなと思いながら後をみた。
玄関から続く暗い廊下の向こうから何かが近づいてくる気配を感じた。
すると其処には青ざめた長髪の白い服を着た血まみれの幽霊が音もなくこっちに近づいてきたのだ。
「ひいいい!」
「ぎゃあああ!」
「さ、貞子だー!」
「逃げろーーーー!」

普段の勢いはどこへやら黒志会はバタバタとクモの子を散らすように逃げていった。
 逃げ出した家には幽霊が残った。しかしその正体は佳代夫人だった。

「今のは黒田様達でしたわよね・・・なにを慌ててらっしゃったのかしら?
かおる〜 景子先生、そろそろ準備はよろしいかしら?」
「ハーイ、ママ」「おくさま、この服可愛いですわね。」
かおるも景子もフリルやレースの沢山ついたフランス人形のような格好でやってきた。
3人とも今流行りの「ゴジック&ロリータ」の衣装を着ていたのだ佳代夫人はわざわざ血糊までつけて、
グロテスクロリータになりきっていた。

「神田様は?」
すると場末のみやげ物よりも不気味な格好の菊代が恥かしそうに出てきた。
「あたしゃ恥かしいよう・・・」
「だめですよ。神田様今夜はハプニングバーでゴスロリハロウィンナイトがあるから
行きたいっておっしゃったじゃないですか。」
もし、黒志会が菊代を先に見たら逃げるどころか失神物だったろう・・・ まもなくハロウィンが始まる。



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